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【外信コラム】ソウルからヨボセヨ 脱北者映画に見る北朝鮮
韓国で製作された話題の脱北者映画「クロッシング」(金泰均(キムテギュン)監督)はよくできた映画だ。韓国では近年、「シュリ」や「JSA−共同警備区域」など北朝鮮がらみの映画が多く製作されているが、北朝鮮の現状をあれだけリアルに映像で再現したドラマは初めてだろう。北朝鮮を“想像”するには必見の映画だ。
「クロッシング」とは「越境」を意味する。飢えと病気の妻子の命をつなぐため、北朝鮮を脱出し中国経由で韓国にわたった炭鉱労働者出身の夫が、稼いだ金で妻子を救出しようとするストーリー。
見どころは北朝鮮における家庭生活や闇市場、学校、孤児収容所などいわゆる“日常風景”で、これが淡々と実に見事に描かれている。多くの脱北者証言や隠し撮りビデオなどを参考にしたものと思われる。中朝国境地帯の中国・朝鮮族自治州で撮影されているため迫真の映像になっており、北朝鮮を実感できる。
最後は孤児になった小学生の一人息子を北朝鮮−中国−モンゴル経由で脱出させる場面で、現地撮影によりモンゴルの風景も登場する。悲惨と悲劇、嘆きの映画だが、感情や政治的文言を抑えた静かな展開でこれがまたいい。米国など海外でも試写会が行われたが、肝心の韓国の映画館では入りは必ずしもよくない。(黒田勝弘)