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【話の肖像画】徹底捜査せよ(2)前警察庁長官・漆間巌さん
■大きかったよど号犯元妻証言
《平成14年3月、日航機「よど号」乗っ取り犯の元妻が、欧州での拉致事件への関与について証言。9月には日朝首脳会談で北朝鮮の金正日総書記が拉致を認め、謝罪。警察にとって、拉致の捜査を前進させる千載一遇の機会が到来した。金賢姫元死刑囚との衝撃的な面会から11年。漆間さんは再び、拉致事件の捜査が大きく動く場面に》
−−拉致事件をめぐる環境が激変する予感はありましたか
漆間 少ない手がかりを積み重ねてきた拉致捜査でしたが、よど号犯の元妻が欧州での有本恵子さん失跡事件について関与を認める証言を始めたのです。あれは大きかった。事件をめぐる情勢が大きく変わり、新たな局面が開けました。
−−欧州からの拉致が明確になったわけですね
漆間 拉致というと、被害者に袋をかぶせて無理やり海岸から連れ去り、工作船に乗せて−というイメージですよね。ところが欧州での拉致はそうではない。これを拉致と呼べるかどうか。だが、拉致というのは法律で定められた言葉ではないんです。であれば、警察庁で定義すればいいじゃないか、と考えたんです。
《漆間さんは北朝鮮の国家的な意思が推認でき、本人の意思に反し、北朝鮮に連れて行かれた−という拉致事件の3つの要件を提示。警察はよど号犯の魚本(旧姓安部)公博容疑者に対し、拉致で初の逮捕状取得に至った》
−−事件の指揮方針は
漆間 拉致はもとより、北朝鮮にからむ各種事件の捜査を活発にすることで、最終的に拉致被害者の解放につなげる転換点が来ることを期待しました。
−−徹底的な捜査を指示した中で、やり残した部分は
漆間 帰国した拉致被害者について、日本国内で拉致に関与した者がいたとすれば、それは事件にできると考えました。しかし、私の時代には、5人の被害者について、国内の関与者は出てきませんでした。
−−平成14年9月の日朝首脳会談では日朝関係も大きく動きましたね
漆間 実はその年の1、2月ごろ、警察庁警備局の抱える案件で官邸に報告に行くと、小泉純一郎総理(当時)が非常に熱心に聴いておられました。拉致だけを報告するわけではなかったのですが、今から思えば、首脳会談よりも半年以上前の当時すでに、会談に臨む方針だったのでしょう。(加藤達也)

