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【主張】「核なき世界」決議 抑止踏まえ現実的方策を
核軍縮・不拡散を議題とする初の国連安保理首脳会合で「核兵器のない世界」の条件づくりをめざす決議1887が全会一致で採択され、鳩山由紀夫首相も「核廃絶の先頭に立つ」と訴えた。
北朝鮮やイランの行動は核不拡散体制を揺るがし、核テロの脅威も深刻だ。唯一の被爆国日本が米国などと連携して世界に指導力を示すのは当然の道である。
ただ、理想を唱えるだけでは日本の安全やアジアの平和は守れない。鳩山首相には核の傘のあり方も含めて、地に足のついた方策を講じてもらいたい。
安保理議長を自ら務めたオバマ米大統領は「核なき世界実現の難しさに幻想はない」と述べ、会合の意義を「核拡散や核テロという最も根本的な脅威に首脳レベルで取り組むためだ」と説明した。
こうした観点から、決議には核拡散防止条約(NPT)体制強化とすべての国の加盟、包括的核実験禁止条約(CTBT)の早期発効、北朝鮮やイランのルール違反への厳しい制裁が盛り込まれた。また、来春のNPT再検討会議でも「現実的で実現可能な目標」を設定するよう求めている。
日本が率先して核軍縮・不拡散に努める方向に異存はない。問題は、国際政治の現実や国家の安全を踏まえた着実な取り組みを忘れてはならないということだ。
その点で鳩山首相が演説で「非核三原則堅持」や「核廃絶」の理念や理想を強調した半面、核の傘の意義や三原則の運用に触れなかったのは残念だ。その理由は、鳩山政権の核の傘をめぐる方針が一貫していないからだろう。
日本の安全保障が日米同盟を通じた拡大抑止(核の傘)に委ねられていることはいうまでもない。首相はかつて「今すぐ核の傘から出る意図はない」と語ったが、岡田克也外相は「核の傘を半分踏み出す」が持論だ。米国には核先制不使用宣言を求めるという。
外務省は外相の指示で「核密約調査班」を設けたが、過去を調べて核の傘をどうしたいのかがみえない。北の核や中国の軍事膨張が懸念される中で、ちぐはぐな対応で日本の安全が守れるのか。
先月、新潟市で開いた国連軍縮会議でも「抑止の実態を踏まえた現実的対応が必要」との意見が大勢を占めた。国民を危機にさらすことがないように、鳩山首相は同盟強化と抑止力の充実を踏まえた明確な方針を示す必要がある。