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【主張】ガス版OPEC 露の支配力拡大に注意を
世界の主要な天然ガス生産国が参加する「ガス輸出国フォーラム」が、新たな国際組織創設で合意した。参加国はロシアやイラン、中東諸国など15カ国だ。その埋蔵量は世界の約7割を占める。天然ガスは石油と並ぶ重要なエネルギー資源である。
創設を主導したのはロシアだ。価格や供給量のカルテルを結ぶ石油輸出国機構(OPEC)のような「ガス版OPEC」をめざそうというのだろうか。消費の大半を輸入に頼る日本も、その動向に警戒することが必要だ。
新組織創設の背景には米国発の金融危機に伴う世界経済の悪化がある。ロシアやイランなど産油国の経済も大きな打撃を受けている。それに拍車をかけているのが昨夏から約4分の1に急落した原油価格の動きだ。
天然ガスの価格も原油につれて下落している。危機感を持った生産国は、新組織により価格を立て直そうとしているようだ。ロシアやイランは安全保障面で欧米を揺さぶる狙いもあるのだろう。
特にロシアはしたたかだ。中央アジアのガス生産国に対して国際価格での買い取りを約束した。ロシアを通さず、カスピ海からトルコ経由で欧州と結ぶパイプラインの活用を牽制(けんせい)する狙いである。一方で、意に沿わないウクライナなどに対し、ガス供給の停止をちらつかせている。
もっとも、原油と天然ガスは取引の形態が異なるので、現状では価格カルテルは難しい。原油は市場が整備され短期のスポット取引も多いが、天然ガスは産出国と消費国の間の長期契約が主流だ。
天然ガスの輸出はパイプライン形式が多く、輸送に便利で価格設定が柔軟な液化天然ガス(LNG)にして輸出する割合は全体の約3割にとどまっている。
しかし、ロシアの狙いはLNG支配力の拡大だろう。日本も昨年、間もなくLNG供給が始まるサハリンでの天然ガス開発において、ロシア側から出資比率の引き下げを要求された経緯がある。ロシア主導の新組織は今後のLNG拡大を見据えて、消費国との販売価格調整などの役割を担おうとしているのではないか。
それらを踏まえれば、消費国側も今後連携して交渉にあたる必要がある。石油における産出国と消費国の間で定期的に開かれている産・消対話などの枠組みも参考になるはずだ。