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【主張】ロシア軍事介入 大国としての自制求める
世界各国の首脳を集めて北京五輪が開幕したその日、北の大国ロシアと、同国南部のカフカス地方にある小国グルジアが戦争状態に突入し、戦闘は広がる様相をみせ始めている。
欧米諸国など国際社会は、全面戦争への拡大と流血の阻止に向けて和平協議の開催を仲介すべきだ。だがその前に、紛争当事者となったロシア自身が全面戦争となった場合の結果を自覚し、即時戦闘停止とロシア軍部隊の早期撤退など冷静な対応をとることが強く望まれる。
戦闘の原因は、グルジアが事実上、独立状態にあった北部の親露分離派である南オセチア自治州を実力で再統合しようとしたことにある。
イラン系言語を話すオセット人が多数を占める南オセチアは18世紀ごろ、帝政ロシアの支配下に入った。ソビエト連邦初期に、ソ連を構成したグルジアに編入され、同じ民族が住みながらロシアに属する北オセチアと分断された。
ソ連末期に独立を宣言してロシアへの編入を求めたことから大流血を伴う武力紛争に発展した。停戦状態にはあったものの、グルジアの国家統合を目指すサーカシビリ大統領の登場で、再び緊迫した情勢が続いていた。
先に武力を行使したグルジアも当然非難されねばならない。だがサミット参加国の責任ある大国が国際社会の了解を得ずに独断で主権国家のグルジアを空爆し、大規模地上軍を侵攻させることの正当な理由にはなるまい。
南オセチアを含むカフカス地方には、ロシアからの独立を目指して武力紛争となったチェチェン共和国がある。今回の戦闘は、いわば紛争の「火薬庫」に火を放つきっかけにもなりかねない。
2014年にロシアは、この火薬庫に隣接する黒海沿岸の保養地ソチで冬季五輪を開催する。東西冷戦の下、ソ連軍のアフガニスタン侵攻に日本を含む西側諸国が抗議、ボイコットした1980年のモスクワ大会以来の五輪開催となるが、今回の戦闘は、それに早くも暗い影を落としている。
ロシアは、隣国への軍事侵攻が何をもたらすのか、再度熟考すべきである。一方の欧米諸国は、民主国家への道を歩み始めたばかりのグルジア支援に明確なメッセージを出すときだ。同国の国家統合が実現してこそ地域の安定が保たれるからである。