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【外信コラム】イタリア便り ボールペン
このニュースのトピックス:欧州
イタリアではボールペンのことを普通「ビーロ」と呼ぶが、英連邦でもこの名称を使うところが多いという。
さて、今年はハンガリーの元新聞記者ラスロー・ヨセフ・ビーロが、科学者だった弟と一緒に1938年6月に英国でボールペンの特許を取得してから、ちょうど70年目に当たる。「ビーロ」とは発明者の姓であるわけだ。
ビーロ兄弟はその後、第二次大戦の戦火を逃れアルゼンチンに移住し量産を開始した。英空軍が、パイロットが従来の万年筆のようにインク漏れを心配せずに高空で使えるため大量に購入したのがきっかけで、世界的に有名になった。実際、兄弟の最大の苦労はインクで、新聞に使われる速乾性インクに気がついたときに難問が解決したといわれる。
兄弟は、50年に特許をフランス人男爵マルセル・ビック(Bich)に、現在の金額に換算すると1500万ユーロ(約25億円)で売却した。ビック氏は語尾のhを除いて、われわれにもなじみの「Bic」の商標で売り出し、現在も世界中で膨大な数が売られている。
「発明者報酬が少なくて気の毒だ」と思う方がいるだろうが、アルゼンチンではビーロ氏の誕生日の9月29日を「発明家たちの日」に決めているという。昔の人が「虎は死して皮をとどめ…」と言っていたごとく、金がすべてではないことを銘記すべきだ。(坂本鉄男)