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【主張】露双頭体制始動 エネルギー外交に注意を

2008.5.8 03:26
このニュースのトピックス主張

 ロシア史上極めて異例な「双頭統治体制」がスタートした。「双頭」の片方は、新大統領に就任したメドベージェフ氏(42)で、もう片方は首相就任を確実視されるプーチン前大統領(55)だが、大統領より首相の影響力の方が強いという何とも奇怪な体制の発足である。

 大統領職を退任したプーチン氏が、新大統領の裏切りを恐れて監視するために首相となるのか。あるいは、自分に絶対服従を誓う若く経験の浅い新大統領を手なずけ、「プーチン王朝」と呼ばれる長期の院政体制を敷こうというのか。その理由は推測の域を出ないが、いずれ時とともに明らかになってくるはずだ。

 ただ、メドベージェフ新大統領は、旧ソ連国家保安委員会(KGB)出身のプーチン氏に、治安・保安機関関係者ら「シロビキ(武闘派)」のほか、政府と議会を完全に掌握されており、独自色を出すことは事実上困難だ。若き指導者の苦悩は深まることだろう。

 ロシアの紋章「双頭のワシ」は1羽が東方に、もう1羽が西方ににらみをきかせ、東西にまたがる大国ロシアの統治権力の象徴だ。プーチン・メドベージェフの「双頭体制」にも、強国となるための2つの重要な“武器”がある。

 それは軍事とエネルギーだ。第二次大戦戦勝記念日である9日には、ソ連崩壊後初めて大量の兵器を投入した軍事パレードが赤の広場で行われる。「双頭体制」の発足を新型戦車や核ミサイルなど兵器で飾り、祝うことで、愛国主義を鼓舞し、「強国復活」を誇示したいのだろう。

 一方、ロシアの国策天然ガス独占企業体ガスプロム会長を務めたメドベージェフ新大統領は、就任後最初の外遊先に、中央アジアの石油大国カザフスタンと、莫大(ばくだい)なエネルギー消費国の中国を選んだ。エネルギー協力で両国との間に横たわる問題を和らげ、懐柔するのが狙いだ。

 先の日露首脳会談で日本側は、平和条約締結の見通しもないのに未開の東シベリアで国民の税金を投入してまで油田の共同探鉱を実施することに合意した。ロシア側には平和条約締結の意義がますます感じられなくなっている。

 ロシアが武器とするエネルギー協力の甘い誘いに乗った結果、北方領土問題がかすむのでは元も子もない。日本側は、その危険を今一度認識しなおすべきである。

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