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【五輪の中国】第3部 聖火異変(5) 「人権」叫ぶEUの悩み (2/2ページ)

2008.4.19 20:35
このニュースのトピックス五輪の中国

 メルケル首相が欠席を表明したドイツは、地球温暖化対策での対中支援交渉も凍結した。「人権尊重」を叫ぶのは、その歴史に起因する。ナチス・ドイツによるユダヤ人虐殺への反省だ。1949年制定の基本法(憲法)には「基本的人権の尊重」が明記され、歴代政権は多くの移民を受け入れ、抑圧された少数民族の保護にも力を入れる。

 首相は、キューバの米軍グアンタナモ基地のテロリスト収容施設に異議を唱えるなど、人権重視の姿勢は一貫している。テュービンゲン大学のギュンター・シューベルト教授(中国学)は、ドイツの厳しい対中姿勢について、独裁政権の旧東独で育った首相の生い立ちも影響しているとみる。

 「人権宣言」のフランスはどうか。7月から欧州連合(EU)の議長国だけに、動向が注目される。サルコジ大統領は、ダライ・ラマ14世との「対話」に中国が応じないなら開会式欠席も辞さない、との姿勢を示し、圧力をかけつつも態度を決めかねている。

 EUの欧州議会は、加盟国首脳の不参加検討を盛り込んだ決議を採決しており、これを無視するわけにはいかない。フランスでは国民の3人に2人が不参加を支持してもいる。一方、中国との経済関係は重要で、EUの対中武器禁輸にも強く反対してきた。

 EUと中国との関係の軸は経済にある。「人権外交」を推進すればそれが損なわれかねない。リスクをどう推し量るかで、各国に温度差が生じる。中国人の民族主義の高揚と抗議行動は、フランスをはじめEUには“圧力”だ。

 中国とは外交、安全保障面での二国間関係の安定的運営にも目配りしなければならない米国はというと、おいそれと「欠席」とは言えない。

 (パリ 山口昌子、ロンドン 木村正人、ベルリン 黒沢潤)

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