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【五輪の中国】第3部 聖火異変(5) 「人権」叫ぶEUの悩み (1/2ページ)
北京五輪の開会式欠席や聖火リレー妨害の動きに反発する中国人の抗議行動が、激しさを増している。
ボイコット問題で、いち早く話題となったのがチャールズ英皇太子。「出席しない」との意向表明の裏には、チベット騒乱前からの中国と国際人権団体による“綱引き”があった。
チャールズ皇太子といえば、チベットのよき理解者として知られる。香港返還の際には自身の日記で、中国指導者を「ぞっとさせる古いロウ人形だ」と揶揄(やゆ)していたことが公になり、話題になったことも。訪英した胡錦濤国家主席らとの晩餐(ばんさん)会も欠席してきた。
その皇太子に、昨年春に着任した傅(ふ)瑩(えい)中国大使が“微笑外交”を仕掛けたと伝えられた。狙いは、五輪開幕式に皇太子を出席させること。11月、皇太子が在英中国人らと交流したことから、英メディアは「初訪中か」との観測も流した。
こうした動きに敏感に反応したのが、国際人権団体「フリー・チベット・キャンペーン」(本部ロンドン)だ。代表代行のアン・ホームズ氏は「皇太子が北京五輪の開会式に出席すれば、チベットでの人権状況は改善されたという中国の宣伝工作が勝利を収める」と、強い危機感を抱いた。
そこで、ホームズ氏は皇太子に出欠の意向を確かめるため手紙を書く。皇太子の個人秘書から返書が届いたのは今年1月。「皇太子は長らくチベットに関心をもち、ダライ・ラマ14世とも会談している。開会式に出席しない」とあった。
皇太子の意向は後日、英紙デーリー・テレグラフに報じられ、3月のチベット騒乱後の国内世論に多少なりとも影響を与えたとみられる。ブラウン首相が開会式欠席を決めたのもひとつには、「出席支持」が3割に満たない世論に押されてのことだ。英国の民主主義の歴史と人権意識の高さは論じるまでもなかろう。