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【産経抄】2月19日
このニュースのトピックス:欧州
バルカン半島のなかで、岐阜県とほぼ同じ面積を持つコソボが、セルビアからの独立宣言を行った。首都になるはずのプリシュティナで、大喜びする住民の姿は、あの日見た光景と重なる。
▼1999年6月、北大西洋条約機構(NATO)軍とともに、当時はユーゴスラビア連邦の自治州だったコソボに入った。NATO軍によるユーゴ空爆の間、息をひそめて暮らしていたアルバニア系住民が、目抜き通りに出てきて、抱き合って再会を喜んでいた。
▼無理もない。約1万人のアルバニア系住民がセルビア民兵などに殺害されたといわれている。自宅でのどをかき切られたり、手投げ弾で焼死した遺体を見せられたこともある。ユーゴ軍が撤退してから今度は、セルビア系住民が、トレーラーに家財道具一式を積んで脱出する姿があった。アルバニア系の武装組織に殺される事件も起こっている。
▼あれから9年、民族の融和は進んでいるのだろうか。現地で取材している黒沢潤記者によると、独立に反発するセルビア系住民の間では、「国家内国家」をつくる動きがある。汚職がはびこり、水や電気、インターネット網などセルビア側に依存する体質も変わっていない。自立への道は厳しいと報じている。
▼独立の後押しをしている米国と欧州連合(EU)に対して、セルビアとロシアはあくまで反対の構えだ。欧州の火薬庫といわれるこの地域に利害のある国だけでなく、分離独立問題を抱える国も、無関心ではいられない。
▼小欄は何よりあの時出会った人たちの消息が気にかかる。集団虐殺現場から奇跡的に生き延びたエルシャニーさん、「コソボは心の故郷だ」と胸をたたいたセルビア人青年のポポビッチさん、今ごろどうしているだろう。