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【産経抄】2月4日
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「女は男の弱さしか愛さない」。佐藤賢一さんの長編小説『双頭の鷲』のなかにある名言だ。フランスのサルコジ大統領(53)の再婚話を聞いて、思いだした。名言はこう続く。「憧憬、尊敬、共感、安心、どんな言葉で飾ったところで、男の強さは手に入れて、利用したいと思うだけだ」。
▼昨秋セシリア前夫人と離婚したばかり。相手の人気歌手カーラ・ブルーニさん(40)とは、その1カ月後にパーティーで出会い、交際を続けてきたという。最高権力者に言い寄られて、「ノン」という女性がいるわけがない。そんな解釈は、げすの勘繰りというものだろう。
▼せっかく夫が、大統領の座に就いたというのに、「自由」を求めて妻が去ってゆく、恋愛至上のお国柄である。ブルーニさんは、イタリアの豊かな家庭に生まれ、芸能界で成功し、華やかな恋の遍歴も重ねてきた。今さら男の強さを利用する必要もないはずだ。
▼ひょっとして、政治の舞台では剛腕ぶりを発揮する大統領が、2人だけのときには、頼りなげな姿をふと見せることがあるのかもしれない。佐藤さんの名言に倣えば、ブルーニさんは、まさに「男の弱さ」に引かれたのではあるまいか。
▼人の恋路をあれこれ詮索(せんさく)したくなったのは、多分週末に見た映画『ラスト、コーション』のせいだ。1940年代、日本占領下の上海を舞台に、傀儡(かいらい)政権の特務機関を率いる男と、男を暗殺するために送り込まれた女スパイが虚々実々の駆け引きを繰り広げる。
▼「アクロバティックなベッドシーン」(毎日新聞映画評)には、度肝を抜かれたが、何よりヒロインが、自ら犠牲となる決断を下す場面が印象に残る。女が男への愛を確信するのは、こういう時なのか、改めて納得させられた。