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【正論】ロシアの「悪銭」はいつまで 拓殖大学海外事情研究所教授・木村汎 (1/3ページ)

2008.1.23 03:45
このニュースのトピックス正論

プーチン流システムの落とし穴

 ≪「レント」としての原油≫

 「レント」という英語は、ふつう賃貸料と訳される。だが、悪いニュアンスもあるらしい。英語世界では「正常な程度を超える超過利益」という意味でも用いられる。具体的には、次のようなことから入手される利潤を指す。市場独占の利益、マフィアの所場(しょば)代、ギャンブルの不正行為によるもうけ、土地や資源が急速に値上がりすることによってもたらされる余剰収入など。これらは、必ずしも額に汗したり手にまめをつくったりする正当な労働の代価として得られるものでない。

 そのために、「悪銭身につかぬ」ケースが多い。

 原油価格の国際的高騰という僥倖(ぎょうこう)によって、資源に恵まれたロシアが最近入手中の莫大(ばくだい)な所得は、「レント」の典型例である。そのような資源レントを独占し、ひいては外交手段としても活用しつづけるためには、どうすればよいのか。

 まず、エネルギー資源を民間企業の手から没収して、再び国家の管理下におく。その経営から外国資本を締め出し、追放する。これこそが、プーチン氏が1987年にサンクトペテルブルク鉱山大学へ提出し、準博士号を得た論文のなかで強調した内容に他ならない。

 政権掌握後のプーチン大統領は、己が論文中に記したことを着々と実行に移してきた。民間石油会社のユーコスやロスネフチを国営化し、ロイヤル・ダッチ・シェル、エクソンモービル、ブリティッシュ・ペトロリアムを、「サハリン2」、「サハリン1」、「コビィクタ油田」などのプロジェクトから事実上締め出そうとしている。

 ≪取り巻き養う“総大将”≫

 現プーチン体制は、西側のクレムリン・ウオッチャー(ロシア専門家)たちによってさまざまな名称をたてまつられている。いわく帝政への先祖返り、官僚的独裁、準権威主義…等々。それはツァーリズム、ソビエト共産主義、新生ロシアの3要素の複合体であるので、おそらく一言で性格づけるのはむずかしく、無理だろう。

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