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【産経抄】12月13日

2007.12.13 03:31
このニュースのトピックスロシア・CIS

 スペインの無敵艦隊を破り、のちの英国繁栄の礎を築いたエリザベス1世は、生涯独身だった。もっとも、求婚者は何人もいて、ロシアのイワン4世もその一人だった。「雷帝」の異名の通り、ロシア史上もっとも強力な暴君として恐れられた人物だ。

 ▼イワンが作ったオプリチニキと呼ばれる秘密警察が、旧ソ連国家保安委員会(KGB)の源流となったといわれている。そのKGB出身のプーチン大統領(55)から、ロシア大統領の後継候補に指名されたメドベージェフ第1副首相(42)が、今度はプーチン氏に対して、次期政権での首相就任を要請したという。

 ▼先の下院選挙の結果、与党系が90%近くを占め、プーチン氏自身の支持率も70%を超えているとあっては、何でもありということか。「院政」や「権力の二重構造」どころか、連続3選を禁じた憲法の規定をかいくぐって、大統領への復帰の可能性さえ取りざたされている。

 ▼国際社会の懸念をよそに、現代の“皇帝(ツァーリ)”への道をまっしぐらである。ロシアで初めて皇帝を名乗ったイワンには、エリザベスにもうひとつ提案があった。もし2人の身に災いが降りかかったら、お互いの亡命を認め合おうというのだ。

 ▼気にくわない人々をことごとく粛清しても、権力を失う恐怖からは逃れられなかったようだ。これに対してエリザベスは、イワンの亡命受け入れだけを認めて、求婚は黙殺した。イワンのプライドはひどく傷ついたはずだ。

 ▼まして21世紀の国際社会では、時代遅れの独裁者の存在など、迷惑なこと甚だしい。強力な指導者を好む国柄とはいえ、ロシアにとっても、本人にとっても、幸せなことではない。賢明なプーチン氏は、熟知しているとは思うが…。

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