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中国、検閲ソフト義務化を延期 消費者反発に当局“敗北宣言”
【北京=矢板明夫】中国政府が1日から義務づけることにしていた、国内で販売されるパソコンへの“検閲ソフト”搭載を先送りした。その背景には、ネットユーザーや消費者からの猛反発があり、彼らは今回の措置を「当局の事実上の敗北宣言」と受け止めている。
「延期は中国のネットユーザーの偉大なる勝利だ」
6月30日夜、中国工業情報化省が、有害サイトへの接続を遮断する「グリーン・ダム・ユース・エスコート」の搭載義務化を延期すると発表した直後から、ネット上では書き込みが殺到した。
「準備する時間が不十分だったため、実施時期を遅らせた」と説明する同省が、検閲ソフトの搭載義務化を認めたのが6月9日ごろ。そのわずか3週間余り後の7月1日から実施するというあまりに突然な決定に、ネットユーザーから猛反発が起こった。「青少年の育成は教育省が担当する業務であり、工業情報化省の越権行為だ」との批判があがり、実施の中止を求める署名運動がネット上で広がった。「消費者の権益の侵害」などを理由に、北京在住の弁護士グループが同省を提訴する動きもみせた。
海外のメディアも「プライバシーの侵害や情報統制の強化につながる」と中国当局を批判した。週2回開かれる中国外務省の定例会見でも、毎回のようにこの問題に対する質問が集中し、報道官は「中国政府には青少年を保護する義務がある」と苦しい弁明を繰り返した。
検閲ソフトはすでに一部の学校や公的機関のパソコンに搭載され、使用されている。しかし、その性能がずさんだったことも判明した。例えば、画像の場合は色だけで判断していることから、白黒のヌード写真は遮断されないが、大相撲の取組の写真はワイセツ画像とみなされ、表示できなくなることがある。また、文字の場合は「黄猫」という言葉は表示できない。中国語では「黄色」はワイセツという意味があり、「猫」は女性の隠語として使う場合があるからだ。これでは仕事にならないと、学校の教師などからも苦情が出ているという。
当局は今回、実施延期を発表することで、国内外からの猛反発をとりあえずかわそうということのようだが、情報統制強化の基本方針に変化はない。ネットユーザーと当局との“攻防”は続きそうだ。