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【正論】中国が対台湾で静観する理由 元駐タイ大使・岡崎久彦 (1/3ページ)
このニュースのトピックス:正論
「平和協定」気配もなし
台湾の総統選挙から半年以上がたった。
8年ぶりの国民党支配、李登輝時代を含めると実に20年ぶりの大陸系勢力の復権であり、誰も先行きが見えず息を殺して見守ってきた。特にオリンピックによって縛られていた中国の手が自由になる2008年夏以降どうなるのか、それが心配された。
しかし、何事も起こっていない。平和協定交渉が始まる気配もない。むしろ、平和協定の条件は台湾海峡対岸のミサイル撤去であるという選挙中の馬英九(現総統)発言がいまなお引用されている。
何がそうさせたのか。一つは、台湾人意識がもはや不可逆的となったことが認識されたことにあると思う。
国民党政権は、成立早々『台湾郵政』を『中華郵政』に改名したりした。しかし、それが、台湾国民の反発を買うことに気づくのにそう時間を要しなかった。両岸交流もしばしば反対デモを招いている。そうしたことが馬政権の支持率急落の一因となっているらしい。
日本との関係も、就任早々の尖閣事件以降は一転して宥和姿勢である。馬総統は「台日特別パートナーシップ」を提案し、国家安全会議は、台日関係を「米英関係に似た特別な関係」と呼んでいる。親日的態度が台湾人の好感を呼ぶことも、分かってきたのであろう。長く政権から遠ざかった国民党としては、ここに至るまでに試行錯誤の時間を必要としたようである。
最大の問題は中国の態度であるが、中国はまだ対台湾戦略を持てずに対応に苦慮していると思われる。
総統選挙までは、中国には民進党政権打倒という明確な政策目標があり、対米外交を含めすべての努力をそれに傾注してきたが、今となると、その成功の果実をいかに収穫して良いか分からないらしい。
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