ニュース: 国際 RSS feed
「三通」一気に拡大 「主権」はうやむや 馬政権の対中融和
【台北=長谷川周人】台湾で初めて開催された4日の中台民間トップ会談で、台湾と中国は経済分野で緊密化を図り、馬英九政権の下で広がる中台関係の融和ムードを内外に印象づけた。だが、政権の急速な対中接近に世論の反発が強まる中、中国への依存で説得力のある経済成果を生み出さなければ、台湾を束ねることはできない。今回の合意により「三通」(通信、通商、通航の直接開放)を政権発足からわずか半年足らずで一気に拡大させた馬総統は、台湾の将来に重大な責任を負う。
中国経済との連携強化による「台湾再生」を公約した馬政権は、今年5月の政権発足以降、1999年から中断した中台対話を再開させ、経済交流を促進してきた。世界的な金融危機で台湾経済に逆風が吹く中、巨大市場を抱える中国との関係改善が生む景気浮揚に経済界の期待は膨らむ。
ただ、7月から運航が始まった週末チャーター直行便は、利用率こそ85%にまで引き上げたが、同時解禁された中国人観光客の受け入れでは、10月に入っても目標枠の3分の1程度にとどまり、期待された消費拡大には必ずしも結びついていない。
しかも、中台関係における最大の政治障壁である「主権問題」はうやむやにしたままだ。「中華民国が全中国を代表する正当な国家」という立場をとる与党の中国国民党は、故蒋経国総統時代に「三不政策」(妥協せず、接触せず、交渉せず)を掲げたが、馬政権による「三通」のなし崩し的な受け入れは、時代の変化を感じさせる。
陳会長は7日までの滞在中、パンダ寄贈問題にも道筋をつけ、6日夕に予定される馬総統との会談に花を添えることになる。支持率の低迷に苦しむ馬総統が、中国経済を頼って大きくドアを開くのに対し、微笑を浮かべて手を差し伸べる中国。台湾側の海峡交流基金会の江丙坤理事長は「ここまで来るのに中台は60年を費やした」と感慨深げだが、馬政権の対中融和による経済振興策の真価が問われるのはこれからだ。