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【ワールドウォッチング】中秋の中国「有人宇宙飛行船」
■技術ショーの背後に軍の影
中国の主要な祝日の「中秋節」は15日だったが、この季節は一年中で最も月見に適しているといわれる。この25日、天候がよければ、中国政府は3度目の有人宇宙飛行船打ち上げを実施する。これまで2回はいずれも10月中旬以降だった。今回は宇宙飛行士が船外活動をする予定があり、太陽光線の反射角度などから、9月下旬が打ち上げに最も適しているためだ。
この時期、宇宙から見る月も、最も美しいのだろうかなどと感傷的になってしまうが、今回の打ち上げには、そうした感傷を許さない極めて政治的、軍事的意味がある。
一つは「100年の祭典」といわれ、中国の悲願だった北京五輪を成功裏に終えたあと、科学的にも中国の技術力が世界最高水準であることを見せつけるねらいがある。
宇宙遊泳などの船外活動を行う宇宙船の打ち上げは米露(旧ソ連)両国に次いで3カ国目で、それこそ中国の威信をかけ、失敗は絶対に許されない。
さらに、中国が近年、宇宙ビジネスを活発化させていることがある。中国はナイジェリアから衛星の製造から打ち上げまでまとめて受注し、昨年5月に打ち上げた。欧州通信衛星機構(ユーテルサット)が打ち上げる衛星に中国の長征ロケットが使用されることも決まっており、今回のプロジェクト成功が今後の宇宙ビジネスにとって必要不可欠だ。
中国の場合、宇宙衛星の製造や打ち上げなどの作業に関しては、中国人民解放軍が密接に関係していることはよく知られる。2003年10月下旬、中国初の有人宇宙船「神舟5号」運搬に使われた大型ロケット「長征2号F」には軍事情報収集衛星も積載され、地球周回軌道に乗ったと米紙ワシントン・タイムズが伝えている。この衛星には地球の特定の地点が撮影可能な赤外線カメラも搭載されていたという。
中国は07年1月、地球の周回軌道上の衛星を地上発射のミサイルで破壊するという極めて難しい実験を成功させているが、これまでの衛星発射で培った技術を駆使したものとの見方が強い。
実際、神舟号の運搬ロケットである長征ロケットを製造した中国航空工業第一集団は軍系企業であり、他の宇宙関連企業として知られる中国航天科工集団、中国航天科技集団などは国有企業とはされているが、解放軍総装備部が管轄している。
このため、前回の神舟6号の場合、「打ち上げ費用は10億元(約150億円)以下と米国の10分の1にも満たない」と孫来燕・中国国家航天局長は発表しているが、これはロケットの製造過程などで軍が関与し、人件費も国防予算から支出されているためとみられる。
中国の場合、宇宙開発が軍事技術に直結しているのは無視できないポイントだ。(相馬勝)

