台湾・馬総統、海洋資源の共同開発を日本に呼びかけ
【台北=長谷川周人】台湾の馬英九総統は19日、台北市内にある迎賓館、台北賓館で産経新聞など日本メディアと会見し、尖閣諸島(中国語名・釣魚島)は「中華民国の領土である」と述べ、改めて領有権を主張した。しかしその一方で馬総統は、尖閣周辺の海洋資源の共同開発を日本に呼びかけ、主権問題は棚上げとし、実務レベルから日台関係の強化を目指す考えを強調した。
日本領土である尖閣に対し台湾は、中国と同様、領有権を主張しているが、政権発足から1カ月に満たない6月上旬、尖閣沖で日本の巡視船と台湾の遊漁船の衝突事故が発生。馬政権は巡視船9隻を尖閣周辺海域に派遣するなど、対日強硬姿勢を貫き、日本側に驚きを与えた。
これを踏まえ馬総統は、日台間の懸案事項を現実的に解決するには、「主権問題を棚上げし、漁業協議で共通認識に達すれば、資源を共に享受する形で衝突が避けられる」と指摘。暗礁に乗り上げたままの尖閣海域における日台間の漁業交渉について、台湾漁民の権益を守る立場から懸念を示し、「(日台が)誠意と善意をもって問題解決にあたれば、双方の利益になる」と訴えた。
馬総統はまた、日中両国が東シナ海ガス田の共同開発に合意したことを引き合いに出し、「日本と中共(中国)ができるのなら、台日も(主権)棚上げを成し遂げるべきだ」と指摘した。
22日の自民党総裁選に関しては、2006年の訪日で馬氏が面談した麻生太郎幹事長(当時は外相)が、中台関係の改善を目指す馬氏の考えに対し「基本的に肯定する見方を示した」として、麻生政権が誕生すれば「台日関係にとっていいニュースだ」と述べた。
馬総統は一方、馮寄台・新駐日代表(大使に相当)を同席させ、「彼は20年来の友人で、信任している」と評し、国際問題を担当してきた腹心の登用で日本側と密接な意思疎通を図り、「特別なパートナー」である日台関係を強化したいとの考えを強調した。
衝突事故が引き金になって駐日代表を辞任した許世楷氏の後任となる馮代表は、「着任後、台日間の相互信頼をどう築くかが最も重要で、台湾は日本にとり最も友好的な国の一つであることを日本政府と人民に理解してもらいたい」と赴任に向けた抱負を述べた。