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【古森義久の北京奥運考】中国の柔道はミステリー (1/2ページ)
中国の柔道はミステリーのようだ。国際的には女子の強豪ぶりがつとに知られている。10日の52キロ級でもセン(ニスイに先)東妹選手が前回のアテネ大会に続いて堂々と連続優勝したように、国際大会ではいつも多数のメダルをごっそりと勝ち取っていく。
ところが中国の社会では柔道は幻影のごとく、実在しない。一般の市民が通える柔道場はどこにもない。各種学校の体育の授業でも部活動でも柔道はない。一般国民は知らないスポーツなのだ。愛知大学から北京に留学中の残留孤児三世の加留部瑶さんは五輪前に中国の友人に柔道を話題にしたら「それ、なに?」と問われ、とまどったという。
金メダル候補のセン選手が出るのだから中国のテレビも実況放送するだろうと思ったら、どのチャンネルも柔道の試合は報じていないので驚いた。射撃や重量挙げはたっぷり中継しているのに、である。「やはり日本のスポーツだからかもしれませんよ」と、もらした中国人の知人がいたことは付記しておこう。
しかし普通の市民はだれも練習しないのに世界的強豪が出てくる中国女子柔道のナゾは東海大学体育学部教授の光本健次7段の説明を聞いて、初めて解けた気がした。光本教授は中国の男子選手の強化のために今年春まで8カ月ほど中国柔道連盟の特別コーチを務めた指導者である。
やはりいかにも中国らしく国家が各省を通じ、全国規模で素質ある少数の少女たちを集め、官営の特別施設に居住させて徹底した訓練を何年も重ねた成果なのだという。
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