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【正論】北京五輪と中国のしたたかさ ノンフィクション作家・クライン孝子 (1/3ページ)

2008.8.5 05:18

成功にメンツをかける

 いよいよ北京五輪が始まる。2008年8月8日午後8時8分のスタートという、いかに中国の好きな「8」の数字とはいえ、よくもまあこれだけ並べたものである。

 アジアでは東京、ソウルに次いで3回目の開催だが、開幕を控えてチベット問題、四川大地震、日本との毒ギョーザ問題と思いがけない災難がふって湧(わ)いたように起こったこともあり、中国としては面子(メンツ)に掛けても成功裏に大会を済ませたいところだろう。

 東京五輪が開催された1964年、私は「国際オリンピック委員会」関係の事務所が設けられた東京の帝国ホテルに勤務していた。選手や事務方の役員を助ける外国語にたけたコンパニオンがロビーを闊歩(かっぽ)しており、その一人が巨人の長嶋茂雄選手と婚約し話題をさらうなど、五輪会場とはまた一味違う裏方のムードを満喫していた。

 国内では池田勇人内閣のころで、確か、彼は10月の五輪終了の翌日、喉頭(こうとう)がんのため辞意を表明し、佐藤栄作氏に首相の座をバトンタッチしている。

 国際社会に目を向けると、開催中の10月15日、スターリン死後の旧ソ連で「雪どけ」の外交を推進していたフルシチョフ氏がライバルによる追い落としに遭い、突如権力の座から失脚した。

東京五輪最中に原爆実験

 ところが何と、その翌16日、中国は初の原爆実験に成功しているのである。まるで東京五輪を狙い撃ちするかのようだった。

 日本はといえば、五輪一色に染まっていた。あれほど盛り上がった60年日米安保反対闘争もまるでうそのように収まり、五輪開催の直前の東海道新幹線運行開始で高度成長のアクセルを踏み、経済大国への道をまっしぐらに突進していた。

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