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【主張】中国バス爆破 安全と人権の両方を守れ

2008.7.23 03:54
このニュースのトピックス主張

 中国雲南省の昆明市中心部で路線バスの連続爆破事件が起き、多数の死傷者が出た。当局は「人為的な破壊事件」と断定しており、テロの可能性が高い。このところ各地で破壊活動や暴動が頻発しているだけに、北京五輪を無事開催できるかにも懸念が高まっている。

 中国政府が五輪の安全を保障することは開催国としての最低限の義務であり、万全を期してもらいたい。同時に五輪を理由に少数民族や農民など弱者への締め付けを強めることがあってはならない。北京に集う国内外の人々の安全と人権の両方を守れなければ、五輪の成功はおぼつかない。

 昆明市の連続爆破事件については2つの可能性が考えられる。第1に地元の政治、社会問題に不満を持つ集団による地元当局への破壊活動だ。次に新疆ウイグル自治区の独立をめざす東トルキスタン・イスラム運動(ETIM)などの組織が北京五輪の破壊を狙って起こしたテロの可能性である。

 後者なら五輪に向けて各地で同様のテロ活動を展開する懸念もあるが、今のところ前者との見方が多い。最近、地方政府・幹部に対する民衆の抗議・暴動が相次いでいるためだ。バスの爆破事件に限っても、2月の湖南省瀏陽市に続き、5月には上海市、浙江省温州市で起きている。

 地方幹部の腐敗・専横、農地の強制収用、環境破壊、所得格差拡大など、暴動やテロの種は尽きない。大規模暴動は21世紀に入り急増を続け、05年に8万7000件に上った。増えすぎてその後は当局が件数を公表しなくなった。

 チベットや新疆の民族独立運動や地方の暴動が多発する現在の中国に「五輪を開催するに十分な条件を備えているか」との疑問はいまも根強い。

 胡錦濤政権は「調和のとれた社会」と「平和発展」を旗印に、北京五輪を国民結束のシンボルとしてきた。だが現実は暴動多発と圧政強化の悪循環に陥っている。幹部の腐敗や悪政を訴えるため上京した多くの農民が、身柄を拘束されている。3月のチベット騒乱後再開したチベット亡命政府との対話も目立った進展はない。

 五輪を真に成功させるには北京の安全確保はもちろん、自由・民主・人権の普遍的価値観に沿って外国人や国民を遇することだ。それなしでは「五輪開催は早すぎた」とのそしりを免れまい。

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