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【記者ブログ】たまには、軽いエントリー(2)ウナギの話 福島香織
■卵の話が、けっこう受けたので、ひょっとすると、やはり日本人は食べ物の話が一番すきなのかも、と思って二匹目のどじょう、ならぬウナギをねらう。
■中国産ウナギの偽装問題が日本列島を揺るがしている(と中国からはみえる)が、今日は中国産ウナギの話。もともとウナギを食べる習慣のない中国人だが、日本食ブームのおかげで、中国人も大好きな定番料理となった。ウナギチャーハンとか、オリジナルうなぎ中華もできて、これがなかなかおいしい。自分でもつくる。
■中国産ウナギ偽装事件は、共同のクォートなどで、食品安全ネットという専門サイトで紹介されているが、中国では公式に報道されていない(はず)。問題は日本側にあるとしても、中国人からみると、面白くないニュースであろう。
■で、素朴な疑問。中国産ウナギは、素人が食べても日本産ウナギと味の差が分からないくらいレベルが高いのか?北京の日本料理屋さんでこんな話をきいたことがある。
■私「日本産ウナギと中国産ウナギって食べたら違いわかります?」
北京在住料理人さん「食べたら分かる分からない以前に、日本と同じ方法で料理できない。中国産ウナギはでかくて脂ぎっていて、そのまま蒲焼きとかにしたら、胸焼けしてぜったい食べられませんよ」
■私「そんなにまずいんですか?でも、ここで食べるウナギの蒲焼き、けっこうおいしいじゃないですか」
料理人さん「それは丁寧に脂抜きしているから。焼いて蒸して、手をくわえて、徹底的に脂をぬくんですね。(注、関西風の蒲焼きは蒸しません)」
■そういや、中国の鰻の蒲焼きってびっくりするほど軟らかい。あれって脂抜きのために蒸して蒸しまくっているからか。そんだけ蒸しまくったら、たとえマライカイトグリーンが使用されていても、脂と一緒に流れでてしまうかも?私はそういう脂をしっかり抜いた鰻の蒲焼きを、わさび入りのお茶漬けにして食べるのが好き。そのくらい手を加えると、脂っこさも気にならない。
■ちなみに、日本は毎年5万トン前後の中国産ウナギ(製品)を輸入(中国食品ネットより)。去年の1月から7月にかけてその輸出量は30%以上ののびだった。ところが、8月以降、輸出量ががたんとへり、9月は前月比65%減。すみません、福島のブログのせいですか?んなわけない。食品安全問題が表面化したせいだ。
■その後、わずかに輸出量は回復したけれど、今年1月にはいって、毒ギョーザ事件でまた50%減!そのあと、回復のチャンスもなく、またこの偽装ウナギ事件、というわけだ。救われない中国産ウナギ。
■もうすこしうんちくを傾けてしまうと、中国の養殖ウナギ年産量は世界の養殖ウナギ生産量の70%をしめ、うちわけは世界生産量が13万〜14万トン。中国大陸10万〜11万トン、台湾1・5万〜2万トン、欧州1・5万トン。大陸の国際市場占有率は75%で、日本市場の80%以上をしめる。大陸の養殖ウナギの8割が広東産で、蒲焼き輸出最大省である。
■広東省の日本への蒲焼きウナギは、2008年1〜4月で1347.8トンで前年同月比72%減。米国向け輸出も3割以上へっている。こういう状況の上に、ウナギの稚魚は、欧州ではワシントン条約の国際2級保護動物に2009年からはいることになり、漁獲が制限される動きがある。そう養殖ウナギといえども稚魚は天然なのである。とすると、ウナギ養殖産業は中国にとって、今後とも持続的発展が約束されている産業ではない、ということになる。
■今、金融業界ではウナギ養殖産業に対する融資は謹むべきだ、というリポートが出されていて、このままだと、中国のウナギ養殖産業は戦略的転換をせまられるかもしれない、らしい。
■養殖産業というのは設備投資がけっこう大きい。だからリスクがともなう。しかもウナギ養殖って寄生虫がつきやすいのだそうだ。マラカイトグリーンは中国国内で養殖魚に使用が禁止されているが、それでもこっそり使われてしまうのは、その寄生虫のつきやすさによる。
■ウナギ養殖産業はここ数年に急激に成長してきた分野で、まだ産業としては歴史があさく、国内市場も関連産業も未発達。だから、いまのうちなら、足が洗える!と、とあるアナリストは北京に提言しているとかしていないとか。
■中国のウナギ養殖産業を支えているのは日本だから、日本が中国産ウナギ、ノーといえば、中国はウナギ養殖産業から政策的に撤退するわけだ。さあ、日本人は、中国産ウナギなしで、生きていけるのか?もしそうなら、中国としてはウナギ産業から撤退するのみ。
■私は、ウナギを日常的に食べる必用などないのではないか、ハレの日のごちそうの地位においておけばいいのではないか、と思う。ウナギの稚魚をまもるためにも。ウナギは私の子供のころは、超のつくごちそうだったのに、今じゃ冷凍ウナギ蒲焼き安価なお総菜だ。特上うな重に憧憬をおぼえる子供時代をすごした私としては、スーパーのタイムサービス安売りウナギの姿はなんか悲しい。
■偽装ウナギ事件は悪質極まりなく、生産者の倫理の問題としてゆるせないとおもうけど、しかし、これにまんまと騙されるほど、日本人の味覚レベルって、そんなに落ちているか、とも思う。賞味期限がきれていても生産地が擬装されていても、それでも消費者が、本物の一色産と遜色ないや、おいしいや、と感じていたとしたら、それも別の意味で事件ではないかなあ。国産の地位とはなにか、ブランドの意味はなにか?
■こういうことを書いてしまうと、また輸入業者の人とか、ウナギ屋さんに怒られてしまいそうだが、消費者ができるだけ現実にちかいところを知って、自分で考え判断することが大切だと思う。
<2008/07/05 17:30>
▼「福島香織」の記者ブログ<北京趣聞博客 (ぺきんこねたぶろぐ)> http://fukushimak.iza.ne.jp/blog/