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「パンダの国の大地震」その時の現場は 慶應大学名誉教授・池井優 (1/2ページ)
四川大地震が発生した今月12日、慶應大学環境研究会の訪中団が、パンダに関するプロジェクトの一環で、たまたま成都に滞在していた。メンバーの一人、池井優名誉教授が、地震発生の瞬間やその後の混乱、緊迫した現地の様子を語った。
従業員と宿泊客30〜40人が血相を変えてホテルの入り口から飛び出してきた。5月12日午後2時半、われわれ慶應大学中国環境研究会訪中団一行は成都に滞在中であった。四川省の成都を訪れたのは、日本が費用を出してパンダの餌となる竹を植えるプロジェクトを実施するためであった。2001年以来続いているこのプロジェクトによって過去に植えた竹は順調に育ち、パンダの数も増え、かなりの成果があがっていることを確認してほっとした翌日、バスに乗り込んで市内観光に出発しようとしたまさにその時、地震が襲ってきたのだった。バスの車体がグラリと揺れ、運転手とガイドは車外へと飛び出した。成都の繁華街の道路は余震を恐れる人々であふれかえった。病院の表には医師、看護婦が付き添い入院中の患者が担架で出ている。団員の一人は成都の大学で学科長以下スタッフ8人と打ち合わせがはじまったその時グラグラッときたが、中国の大教授たちが皆窓から外を逃げ出したという。ホテルは停電とガスが止まり、かつ余震のおそれもあることから椅子(いす)を駐車場に並べて宿泊客を待機させた。やがて夕食の時間が迫ってきた。調理ができないので、パンと果物で簡単に済ませざるを得なかった。
停電が解除され、テレビをつけるともちろん地震のニュースが流れたが、日本のようにヘリコプターを飛ばして上空から震源地付近の模様を写す、リポーターがいち早く現地にはいって被災者の状況を伝えるといった報道ではなく、温家宝首相が北京から現地に向かったと首相の機内でのインタビュウを長々と流すといった扱いであった。