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【グローバルインタビュー】同胞から狙われた中国人留学生に聞く「愛国主義の暴走は愚民化教育のツケ」 (4/4ページ)
−−なぜそうなるのか
「愚民化教育のせいですよ。国というより政府、教育機構が教育を進めるわけですが、人が愚かであるほど政府は御しやすいと感じているのです。中国の学校では道徳教育が足りないと感じますが、いまの道徳の時間は政府の宣伝(プロパガンダ)だと思っていました。放送や新聞(いずれも中国当局の公式メディア)の内容は、『仮』(でっち上げ)、『大』(針小棒大)、『空』(無内容)な話ばかり。ざっくり言えば駄ボラか大ウソかな。
こんな教育を続けていると、国民の政府への信頼を傷つけるほか、国民相互の信頼や尊重もなくなります。チベット問題の処理にも尊重ということがないし、私への扱いだって尊重されているとは思えません。中国では、自分はよくやっていると思う人がいたら、まわりから病気扱いされます。でも米国では、アメリカン・ドリームを描くことをよしとしますよね。誰もが理想や抱負を持って当然なのです。この対照的な思考方法は、民族的な違いばかりだとは思えない。愚民化教育が、思考を硬直化させる道具になっているのです」
−−中国で行われている愛国主義教育をあなたも受けたはずだ
「愛国主義教育は、きれいな言葉できたないものを覆っているのです。過去の被害で現在の他者を攻撃するようなものでしょう。文化大革命にしても、現在の問題にしても、最もみにくい思考をもって、自己の形をゆがめるようなものです。互いに排斥し、冷たい目で見合って、隣人同士で不安を醸成している状況は、もはや多方面に影響が及んでいます。
いまの指導者層は、文革中の紅衛兵だった世代ですよね。文革って、能力を得たいと思う人からチャンスを奪う時代だったんじゃないかな。いま私を脅している人にしても、自分で考えて意見を表明するようなタイプが現れるのが怖いんだと思う。中国は大きな国ですから、実際には能力のある人がたくさんいるんですけどね」
−−国内での学生時代に遭遇した反米、反日デモを覚えているか
「当時はよく分かりませんでした。当時はまだネット環境がよくなかったので、中国メディアの報道をみていました。米国については『覇権主義』と呼ばれていましたね。覇権主義的な要素は、米国に確かに存在しているとは思います。ですが、米国の場合は国民が自由に政権を批判できます。覇権主義を批判した口で、別の人を覇権主義的な態度でたたくのはどうかしています。中国にしても、米国の覇権主義を批判しながら、実際には自分も覇権主義の夢を追っている。いま私はベトナムについて勉強しているところです」
−−将来はどうする
「まだ学部の1年目なので、専攻は決めていません。できれば修士、博士まで進みたい。20〜30年後がどうなるのか、ちょっと予測はつきませんが、私は中国に帰って民主政治に携わりたいと思っています。そのためにも、政治、経済、法律をそれぞれ修める積もりです。学校を終えたら、まずは国連機関の職員を目指しますよ」
王千源さんへの脅迫事件 北京五輪の聖火リレーが米サンフランシスコを通過した4月9日、デューク大学構内で、「自由チベット」を叫ぶ米国人学生らの十数人と、親政府系の中国人留学生ら400人あまりが対立。緊迫した空気のなか、同大1年の王千源さんが対立を避けて話し合うよう中国人に呼びかけた。
王さんの仲介申し入れに対し、中国国旗を掲げたデモ隊は「漢奸(売国奴)」などの中傷を集団で浴びせた。直後に王さんの個人情報がインターネットでばらまかれ、中国語で「死体を刻んでやる」といった悪質な脅迫が殺到した。米メディアが事件を報じて、米国社会の強い関心を呼び起こした。


