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【記者ブログ】チベット騒乱:燃え上がる愛国心の火は、次ぎはどこに引火する? 福島香織 (4/5ページ)
■彼女の文章は、漢詩や古典がちりばめられ、やや古めかしい言葉で書かれているので、全訳は放棄。いいたいことは、チベットを同じ中華大家族の一員として認めるなら、今のやり方(対チベット政策)ではだめだ。このままではチベットは米国の方に親しみを感じてしまう。チベットと中国は唇と歯の関係だから、絶対チベットを滅ぼしてはならない。米国はチベットに対し、極めて気をつかっている。中国は米国よりも、チベットに対し気を遣わねばならない。という主張だ。
■王千源事件のエスカレートに、家族は身を隠さねばならないほど危険を感じているという。父親の謝罪文(本物かどうかは謎)がネット上で公開され、「娘にかわって全人民に謝罪します」と謝ったりして、まるで文革時代のつるし上げを彷彿とするような様相だ。さすがに当局もやりすぎと思ったのか、過激な書き込みは削除されているものの、今なお余波がつづく。
■さて、こういった、中国の若者を中心としたネット上の愛国心の発露は本物なのだろうか。2005年の反日デモを振り返ると、私は背景に、貧富の格差や金持ちのシンボルである高級品の日本製品にたいする反感が、江沢民時代に共産党への求心力維持に政策としてとられた反日教育世代の若者の感情と結びついたのだとみている。きっかけは、多少、官の誘導においがあった気もするが、それは、親日路線の胡錦濤政権と、それに抵抗する上海閥との対立や攻防があった、とする見方もあった。
■いずれにしろ、日本政府と日本企業の力が、中国経済の持続的発展に必要だ、としていた胡錦濤政権は、途中から大衆の反日行動を制御しきれない状況を恐れるようになり、火消しにやっきとなった。あのころ、このブログでもインタビューをとりあげた馮錦華さんら、愛国主義青年たちは、公安当局からデモを起こさないよう申し渡され、監視を受けていたという。私は、反日青年たちは嫌いだし、その主張も共感しないけれど、こういう形で意見表明の機会を押さえ込むのはもっと嫌い。破壊行為は法律でもって禁止し、警察が取り締まればいいが、理性的なデモくらいはさせてやれ、と思う。