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【産経抄】4月11日

2008.4.11 03:12
このニュースのトピックス産経抄

 長野の善光寺といえば、宗派にこだわらず、だれにでも門戸を開く「おおらかさ」で知られている。善光寺に参詣した芭蕉にも「月影や四門四宗もただ一つ」の句があった。

 ▼26日に行われる北京五輪の聖火リレーの機会を利用して、ぜひこの「寛容」の精神を、長野から世界に発信してほしいと願っていた。きのうの記者会見で、五輪開催支持をあらためて表明したダライ・ラマ14世の考えにも、合っているはずだ。

 ▼しかし、中国政府は、チベット弾圧の正当性を主張するだけで、聞く耳を持とうとしない。国威発揚のための聖火リレーも、強行を続けるかまえだ。中国の常識が、世界の非常識になっていることを、どうしても認めたくないのなら仕方がない。各地の抗議行動は激しくなりこそすれ、収まることはないだろう。

 ▼それにしても、お国柄が出るものだ。パリのシャンゼリゼ大通りでは、金髪の少年がいきなりバス停の屋根の上に飛び乗って、チベットの大型旗を振りはじめた。ドラクロワの傑作「民衆を導く自由の女神」に描かれた少年の姿に重なってみえたと、パリの山口昌子特派員が、リポートしていた。

 ▼サンフランシスコでは、聖火ランナーが雲隠れして、肩すかしをくったかっこうだ。それでも前日に開かれた集会では、チベット問題で発言を続ける映画俳優で、仏教徒でもあるリチャード・ギアさんが非暴力を訴え、金門橋には、「チベットに自由を」と書かれた横断幕が掲げられる見せ場があった。

 ▼日本ではどうか。暴力が許されないのは当然だが、“中国聖火警備隊”に張りつかれたランナーが粛々と聖火をつなぐだけ。そんな“静かすぎる”リレーなら、人権後進国の烙印(らくいん)を押されかねない。悩ましい。

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