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【主張】北京聖火リレー 五輪精神に基づく解決を
中国政府のチベット抑圧をアピールしようと、北京五輪の聖火リレーを舞台にした抗議行動が世界各国で続いている。五輪という「平和の祭典」の行事がこのような非難を浴びるのは異常事態だ。中国は国際世論にもっと耳を傾ける必要がある。
ロンドンで6日行われた聖火リレーでは、英国内や欧州各国の亡命チベット人ら約1000人が結集し、リレー走者から聖火を奪い取ろうとする場面もあった。
7日のパリでは市庁舎に「世界各地の人権を擁護する」との横断幕が掲げられた。9日に予定される米サンフランシスコでは、市議会が前もって「警戒と抗議をもって(聖火を)迎える」との決議を採択している。
一部の人権活動家だけでなく、一般市民の間にも抗議の輪が広がっている理由は明白だ。一連のチベット騒乱と強権的な対応についての中国政府の説明に、国際社会が納得していない。チベット亡命政府の長であるダライ・ラマ14世からの「対話」呼びかけにも応じない中国の姿勢に疑問を感じるからである。
暴力を伴う五輪妨害行為は容認できない。しかし、民主社会の根幹である「言論の自由」を武力で封殺することもまた、許されない。五輪が政治に介入すべきではないとの原則を強調する国際オリンピック委員会(IOC)のロゲ会長も「暴力的でない限り、抗議行動を尊重する」との立場だ。
今回の抗議行動は、チベット問題を世界中に提起する結果をもたらした。しかし、聖火リレーをめぐる抗議行動が今後過激化したり、中国側が弾圧を強めたりする最悪のシナリオは回避したい。事態収拾のカギを握るのは、やはり、開催国とIOCだろう。
オリンピックが最も重視する理念は「人権」である。そうであるなら、北京五輪を前にチベットで人権抑圧を訴える声が噴出し、多数の死傷者が出ている現実をIOCが直視し、開催国を含む国際社会に解決を訴えることは、政治を超えた、五輪精神にかなう行動ではないか。
北京五輪開催が決まった2001年のIOC総会(モスクワ)で当時の北京市長は「五輪開催までにあらゆる分野で国際標準化を図る」と述べた。五輪憲章に基づき、国際社会に受け入れられる大会にするとの宣言である。この約束をほごにしてほしくはない。