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【正論】「総統選」以後 「民主的交代」中国への衝撃 評論家・鳥居民 (2/3ページ)
≪戒厳令下の台湾が狙い≫
多くの研究者がそのように説いてきたのだが、じつはその解釈は正しくない。
ミサイルを撃ち込んで、李登輝氏を落選させることはできなかった。中国共産党指導部もそれをはっきり予測できたことなのである。では、なぜ台湾海峡で数カ月にわたる軍事演習をつづけ、ミサイルまで発射したのか。中国共産党指導部はつぎのように読んでいた。台湾人に脅しをかけ、恐慌状態にさせ、台湾のすべての株式を暴落させる。台湾の大金持ちから小金持ちまでが証券取引所の一時閉鎖を求め、戒厳令を布いてほしいと願うようにさせる。
中国軍の威圧がさらにつづくと台湾の軍部を警戒させて、戒厳令を布くことを軍人たちも望むようになる。
そして世界最長の戒厳令下にあった台湾人は戒厳令に慣れているとも思ったはずだ。
共産党幹部の意図は、李登輝氏を落選させようとしたのではなかった。李氏が全台湾人から選ばれた民主的な指導者となるのを阻止し、かれを専制体制の独裁者にしておこうとしたのである。
中国共産党は自分たちが独裁をつづけていくためには、腐敗と非道の歴史を持った国民党の独裁が台湾につづいているのだと人々を教化、宣伝したい。そこで台湾に再び戒厳令を布かせ、総統選挙を無期延期させようと願ってこそ、ミサイルを撃ち込むことになったのである。
中国のその意図を挫(くじ)いたのは、アメリカの2隻の空母だったことは言うまでもない。
≪「ひ弱な超大国」≫
さて、中国共産党指導部は民主主義政体の台湾の存在が国内にどう影響するかと不安を抱きながらも座視せざるをえなくなった。だが、軍と警察を自由に使えるところでは、国内へ民主と自由の理念が入ってくるのを恐れ、香港人が民主的な方法で自分たちの代表を選ぶのを許さないし、チベット、新疆に「高度な自治」を与えようとしない。
アメリカの中国専門家、スーザン・シャーク女史がいみじくも言ったように、「ひ弱な超大国、中国」なのである。

