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【記者ブログ】情報統制を超えて漏れ聞こえるラサの悲鳴をきけ! 福島香織 (5/5ページ)

2008.3.17 10:04
このニュースのトピックス福島香織の北京特派員記者ブログ

■もちろん、自由アジア放送が伝えたように、投獄中の僧侶の釈放要求とか、いろいろな不満がつもりつもっていたのだろう。昨年末で、政治犯として投獄されたチベット族は僧侶を中心に119人。活仏の当局による管理・許可制導入など、チベットの伝統・宗教文化を完全になめくさった政策を強引に導入するなど、外国人にはどうしてそこまで締め付けねばならないのか、踏みにじらねばならないのか、理解に苦しむほど、チベット族への圧政がある。たとえ、ダライ・ラマ14世の存在感、影響力が共産党中国の想像を絶するほど大きく、中国指導者が過剰におびえているとしても、あまりにひどすぎる。

■こういう状況でおきた僧侶のデモだが、300人レベルの坊さんのデモを武装警察を突入させて制圧する必要がほんとうにあったのだろうか。300人レベルの抗議活動なら、香港では毎日起きている、とはいわないが、比較的頻繁に起きている。ダライ・ラマ14世が求める高度の自治とは、この香港レベルのなんちゃって自治・一国二制度にすぎないのである。一国二制度くらいいいじゃないか、と私などは思うが。

■暴動の原因が何なのか、どういう経緯でかくも悲惨な大暴動に広がったのか、今は断片的な情報の寄せ集めで見えない部分が多い。中国側公式発表をうのみにして、それを既成事実としてしまうのは、毒ギョーザ事件の真相を中国公式発表どおりの見解で処理するのと同じだろう。

■ダライ・ラマ14世は、この暴動について、国際的な独立した調査団派遣を望んでいる。ぜひ、日本もこの意見を支持してほしい。暴動は今や飛び火、拡大している。今、ここで国際社会に見捨てられると、沸点の低いチベット族は、それこそ玉砕覚悟で蜂起するかもしれない。

■毛沢東が行った対チベット政策がいかに苛烈にして陰惨であったかは、わざわざ私が言うまでもないが、その記憶を受け継いでいる若いチベット族は今でも大勢いる。一見、漢族にとけ込んで暮らしている普通のチベット族の若者も、ふと酔った瞬間、もし状況がこのままならば、殺された祖先の数だけ漢族を叩き切って自分も死ぬのだ、といまだにうわごとを言う人もいるのだよ。その深い恨みと悲しみを本当に癒すのは、金でもなく、女でもなく、ダライ・ラマ14世の帰還と宗教の自由というあたり、チベット族のメンタリティは、中国人にも日本人にもなかなか理解できないのだが、それは尊重せねば多民族国家は成立しえない。

■あす(というか今日)17日は、ダライ・ラマ14世インド脱出の記念日。多くのチベット族・僧侶の心がざわざわする日だ。どうか、恐ろしいことがおきませんように。血がながれませんように。私まで心がざわざわする。ひとつ間違えば、本当に北京五輪どころではなくなるかもしれない。

<2008/03/17 04:19>

「福島香織」の記者ブログ<北京趣聞博客 (ぺきんこねたぶろぐ)> http://fukushimak.iza.ne.jp/blog/ 

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