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【五輪の中国】第2部 矛盾経済(4)構造転換 生みの苦しみ (2/3ページ)
「経済運営に際だった問題と根深い矛盾がある。ここ数年の固定資産投資(企業設備や不動産、公共事業などの投資)の過熱、通貨供給と銀行貸し出しの過剰、国際収支の不均衡である」
温家宝首相は今月5日、全国人民代表大会の政府報告でこう語り、物価急騰に強い危機感を示した。
温首相の言うように、中国経済の最大の問題は投資と輸出に過度に依存した成長を長年続けてきたことにある。昨年の固定資産投資は約13兆7000億元と、5年連続で前年比約25%増えた。
この間、GDPを構成する消費と投資、純輸出(輸出マイナス輸入)のうち、投資が4割を上回る状態が一貫して続いている。途上国の高度成長は投資と輸出が原動力となる場合が多いが、日本や韓国は3割前後の投資率で約10年の2ケタ成長を実現した。
中国は投資率がさらに高いうえに、消費が約5割と先進国(7割前後)に比べ極端に低い。国内の所得格差が甚大で、人口の8割を占める農民や都市の低所得層の購買力が弱いためだ。
その穴を埋めたのが対米をはじめとする輸出で、過去5年間、毎年30%近い激増を続けた。この間、米国はかつて10%あった家計の貯蓄率がほぼゼロになるまでの過剰消費を続け、中国産品を貪欲(どんよく)に吸収した。
中国の過剰投資、過剰生産を米国の過剰消費が支えることで、5年連続の2ケタ成長が実現したわけだ。
しかし五輪まで半年を切ったところで、中国経済を取り巻く内外の雲行きが一斉に怪しくなりつつある。人民元の切り上げを渋ったことが、切り上げ期待の外資流入による過剰流動性を招いた。
通貨供給量の増大は過熱投資と相まってインフレを再燃させ、2月の消費者物価は前年同月比8・7%上昇した。約12年ぶりの高い上昇率だ。
一方、不動産をしのぐ暴騰を続けた株価も10月をピークに3割強下げ、資産バブルは五輪を待たず収縮しつつある。