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ポスト胡錦濤の習氏、不安な船出

2008.3.15 19:28
このニュースのトピックス中国

 【北京=矢板明夫】昨年秋の党大会で中央入りしたばかりの習近平氏が、国家副主席に選ばれた。現時点でポスト胡錦濤の最有力候補となったが、習氏は過去の最高権力後継者と比べて決定的な違いがある。絶対的な実力をもつカリスマ指導者による指名ではなく、拮抗(きつこう)する各派閥による妥協の結果によって選ばれていることだ。その求心力には疑問が残り、5年後、権力継承が無事に行われるかは不明だ。

 副主席選挙で、習氏の得票は賛成2919票、反対28票だった。続投を果たした胡錦濤主席の反対3票と比べて、人気は落ちるが、ほぼ満場一致の支持を得た。

 “次点”となったのは習氏のライバルで筆頭副首相に就任予定の李克強氏。得票はわずか5票だったが、信任投票のため投票用紙には習氏の名前しか印刷されておらず、それを消して、李氏の名前をわざわざ書き込んだ者が5人もいたということになる。

 共産党内部の権力闘争の痕跡を外部に見せない中国では、選挙で非立候補者が複数票を獲得することは珍しい。事前の根回しを無視した5票は、密室談合で候補者を決めた現指導部に対する、李氏支持の一部代表による不快感の表明といえる。

 中国の指導者は、約20年前の江沢民政権から建国にかかわった革命経験者がほぼいなくなった。戦時中の軍功と違って、平和時代に群を抜く実績を積むことは難しく、その後の幹部選抜の際、権力闘争の激しさが増したといわれる。江沢民氏と胡錦濤氏は、いずれも●(=登におおざと)小平氏の直接指名によって選ばれている。反対派はいたものの、●(=登におおざと)氏の決定を覆すだけの力はなかった。

 習氏は、11年前の党大会中央委員候補選挙で、151人中最下位で当選するなど、党内での評判は決して芳しくない。現在の権力構造の中で、各派閥にとりあえずは受け入れられた人選だが、今後、状況が変化する可能性もある。政治手腕が問われる中、すきがあれば、李克強氏を代表格とする共産主義青年団(共青団)による巻き返しも予想される。カリスマ不在の中国の政治はさらに不透明な時代に突入する。

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