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【五輪の中国】第2部 矛盾経済(1)高騰のちバブルの陰り (1/2ページ)
今年8月8日に開幕する北京五輪が、改革開放路線のもとで経済膨張を続ける中国にどのような影響をもたらすか。
賃貸物件の家賃が高騰している北京に、典型的なエピソードがある。五輪期間中にはより高値で貸そうと、現入居者を追い出す家主が現れた。
市中心街の王府井の高級賃貸マンションに住む会社員の日本人女性の場合、借りている部屋は100平方メートル強の2LDKで、家賃は1万7000元(1元=約15円、約25万5000円)だった。それが昨年末の契約更新の際、いきなり倍近い3万2000元だといわれ、唖然とした。
女性はマンションを出ることを決めた。「五輪後、たとえ値段が下がっても、絶対に戻ってこない」と憤る。
五輪という世紀のイベントが不動産や諸物価の高騰を招くなか、気になる現象が少なくない。
建国門外地区といえば、北京市内でも地価の高さで知られる。今月8日の土曜日、目抜き通りの長安街沿いに売り出し中の新築高級マンションを訪ねた。
さぞ、金持ちの見学者が多いだろう、と思い込んでモデルルームをのぞいたら、閑散としている。そろいの赤いスーツを着た若い女性営業スタッフ数人は受付の周りに集まり、おしゃべりに夢中だった。
昨年1月に販売を開始したこのマンションの総戸数は700余り。75平方メートルの1LDKが中心で、当初の価格は165万元。日本円にして2475万円ほどだった。それが、わずか1年足らずで50%も高騰し、10月からは250万元(約3750万円)に跳ね上がった。
それでも、売れ行きが一番好調だった9月には約80戸を販売したという。ほとんどが、五輪景気をにらんだ投機目的による購入だった。ところが、昨年末から客足はパッタリ止まった。
なぜか。政府の投機抑制策によって、不動産バブルに陰りが見え始めたからだ。売れたのは今年1月が5戸、2月は3戸だけだった。
「五輪が近づくにつれ、景気はますます良くなると聞いていたのに…」と、女性営業スタッフはため息をついた。
給料は売り上げに応じた歩合制。この女性が2月に稼いだのは1000元余りで、昨秋のわずか約10分の1だ。今年に入り給料をまだ手にしていない同僚もいる。
「この仕事は化粧品代などいろいろとお金がかかる。このままだと、転職するしかない」
しかし、このマンションの販売会社は強気の姿勢を崩さず、価額を下げるつもりはなさそうだ。売り上げの落ち込みを「次の上昇気流に乗る前の中休み」とみる男性幹部はこう言った。
「夏の五輪を成功させれば、北京は国際大都市の仲間入りを果たす。東京やニューヨークなどと比べて地価はまだ半分以下なので、外国人投資家が五輪後、本格的に北京へ進出するに違いない」


