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【記者ブログ】薬の安全学再び:世界中の薬屋さんが中国無しに生きていけないって知ってた? 福島香織 (2/4ページ)
■なぜ、そうなるか、というと製薬市場の生存競争は激烈で、値段が大暴落しているペニシリンや、薄利多売のメタミゾール、テトラサイクリンなどは、中国以外でつくってちゃ採算があわない。しかし、この薄利多売競争 低コスト化が、今中国国内でも多発しているニセ薬や劣化薬、生産過程管理ミスによる不良薬による薬害問題の背景でもある。
■昨年夏ごろから、中国国内ではけっこう大問題になった上海医薬集団華聯製薬工場の白血病治療薬薬害事件の背景も、医薬品製造低コスト化が背景だったことが明らかになっている。69年の歴史ある国有企業の工場で、汚染物質が混入した薬がつくられ、最小5歳の子供を含む少なくとも193人が身体マヒなどの後遺症に苦しむ結果となったというこの強烈な事件は、中国国内では実にありがちな事件、ということで、発覚当時には、日本メディアはあまり関心を払わなかった。
■けれど今年になって、その背景がわかってきた。世界の工場、中国における本質的な問題が、すべてそろっているような気がするので、南方週末(1月23日)の内幕記事を引用しながら、紹介しよう。事件を起こした薬はメソトレキセート、シタラビンといい、白血病治療につかわれる抗がん剤で、華聯工場はこの薬を数十年作り続けてきた実績があった。なのに、なぜ、今回、こんな事件がおきたのか。
■(引用開始)抗がん剤の利潤はミネラルウォーター一本よりも安い。生産コストを抑えるために、規約違反、混乱が生産現場に生じている。上海医薬集団の製薬工場で長く働いている従業員はいう、「こんな事件はいつおこっても不思議ではない。起こらない方が不思議だ」。
■厳甄?ちゃん(7つ)は、もはや二度と歩けないからだになってしまった。華聯のメソトレキセートの脊髄注射治療を受けたからだ。当初、これは薬自体が本来もつ副作用と思われていた。しかし、同様の薬の治療を受けた少なくとも193人の患者が、大小便失禁、身体マヒなどの症状をつぎつぎと訴え、その後の調査で、薬の中に不純物が混入していることが発覚。昨年末までに、工場は生産停止となり、多数の企業側責任者が拘留され、もっか、当局は「組織的隠蔽があったのではないか」と捜査中だ。
■この薬は一回分、わずか1・9元。抗がん剤としては古典的な薬で、効果は確実だが、副作用が大きいことでも知られ、かつて一度生産停止となったこともあった。しかし、市場の要求におされ、生産が再開始され今や、中国における白血病治療は必ずこの薬を使うといっていい。華聯は、中国におけるこの薬の主要生産拠点だった。
■厳ちゃんのような重篤な副作用がつぎつぎと発覚して、国家食品医薬監督管理局は昨年7月7日、同企業の薬の使用一時禁止を通知した。その後、上海に3度おもむき、調査を開始。しかし、ちょうど、華聯側の責任者は人事異動したばかりで、誰にきいても「原因はわからない」というばかり。また上海医薬集団は独自検査をおこない、「品質に異常はない」と何度も発表、消費者に安心するよう呼びかけた。上海医薬監督管理局は、8月2日、被害を起こした製造日のメソトレキセート以外の同企業の抗がん剤を医療現場で使うことを許可してしまった。このことがさらに被害者を増やすことになる。
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