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【記者ブログ】食の安全学再び:中国でメタミドホスを買える? 福島香織 (5/5ページ)

2008.2.5 16:36
このニュースのトピックス福島香織の北京特派員記者ブログ

■仏山日報(2007年6月26日)

広東省仏山市の富湾大橋工事現場の食堂で22日昼、トマトスープなどを食べた民工(出稼ぎ農民)21人が食事後1時間半後、動悸がくるしくなる、嘔吐、脂汗などの症状をうったえ、うち7人が意識不明の重体になった。病院に運ばれ、胃の洗浄などの治療を受けて命は助かった。

 翌日、警察が食事の残りを化学検査したところ、トマトスープから有機リン系農薬が検出された。このトマトは、不定期の移動露天商が売っていたものだった。

■華西都市報(2004年4月8日)

4月7日、衛生当局は食品安全警告の広告を発表。メタミドホスを食品に入れないよう、農薬を保存する場所には「たべられません」との表示をつけ、農薬誤食中毒を防止するよう呼びかけた。

 というのも、3月31日、4月4日に、同省でメタミドホス中毒事故が相次いでおき、12人が中毒、うち2人が死亡した。無色透明なこの液体を調味料と間違えて料理に使用したのが原因だ。

■倉庫や小売店、あるいは農家の物置(台所にも?)メタミドホスは残っている。また、危険性をあまり認識せず、せっかく買ったんだからもったいなから今年も使おうなんて農民もいるだろう。中国では、だから高毒性農薬が比較的簡単に手に入る、といってもいいだろう。そして、そのことが「投毒」と呼ばれる事件も多く誘発している。たとえば以下のような事件。

■合肥晩報(2007年9月12日)

8月20日、合肥市肥東県公安当局は、桐山村の農村家庭で、家でビールを飲んでいた男性がビールの味がおかしいと訴えたので捜査を開始。ビール瓶の蓋には針であけたような穴があった。化学検査の結果、ビールからメタミドホスが検出され、蓋の穴から注入されたと断定。この日、妻が男性の賭け事を責めたことで、夫婦喧嘩があり、妻によるウラミの犯行であることがわかった。

■江南都市報(2007年3月19日)

 撫州市臨川区で、近所とけんかした農婦が報復のつもりでメタミドホスを井戸に投げ入れ、9人が中毒症状を起こしたが全員命が助かった。臨川警察は農婦を「投毒致傷」の疑いで逮捕。16日、村の3家庭9人の村人が次々めまい、腹痛をおこし、警察が投毒事件として捜査していた。

■今回の日本の毒ギョーザ事件の背景はまだ分からないし、上に述べたことと直接、関連づけるつもりはない。だが、中国でメタミドホスの管理がさほど厳格ではなく、その結果、メタミドホスが原因の事故、事件は少なくない、ということは、日本人も知っておいた方がいい。そして、日本政府は、そういう中国の状況にどう対応するべきかを、今考えるときだろう。

■たとえば、中国政府が過去に販売したメタミドホスの回収法や管理をどのように考えているのか問いただしてみたり、農民の安全教育研修や流通上の安全管理の技術、ノウハウなどの相談に応じてみたり。生産禁止(今年)後のプラントがどう処理、解体されるか、あるいは転用されるか、ちゃんと説明をうけるとか。

■でも、やはり一番重要なのは、日本政府、日本企業そして日本人消費者が、食の安全をどう自衛するか、を考えることだと思う。それは、国内の食品自給率をもう少しアップするにはどうしたらいいかとか、海外から来る食品の安全レベルを引き上げる検疫システムをどう改善するとか、あるいは、小さい子供がいる家庭では、手料理を増やしてもらうために、働くお母さん、お父さんへの便宜をはかるべきじゃないかとか、そういうレベルの議論でも、無駄とか無理とかあほらしいとか思わずにやるのも必要じゃないかな、と思ったりするのである。

<2008/02/04 04:10>

「福島香織」の記者ブログ<北京趣聞博客 (ぺきんこねたぶろぐ)> http://fukushimak.iza.ne.jp/blog/ 

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