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【記者ブログ】中国式民主を考える(2) 農民の求める民主? 福島香織 (3/5ページ)

2008.1.20 17:09
このニュースのトピックス福島香織の北京特派員記者ブログ

■農民が書いたとは思えぬ(失礼!)論理的な文章だと思う。そして、中国の今の矛盾を見事にあぶりだしている。

■中国では農地は集団所有(農民が集団で所有している、つまり村として所有しているのに)と憲法に定められている。その使用権については、村から村民個人に分配され、その土地から得る収益は個人財産に属する。しかし、現実にはこの権利は架空のものとなっている。なぜかというと、農地の使用権を分配する村長(村民委員長)など村の代表が、民主的選挙で選ばれておらず、現実には村民の利益代表になりえていないからだ。

■もちろん、農村では「海選」と呼ばれる村民直接選挙による村民委員会という農村自治組織の選出制度が80年代から導入されはじめたことになっている。82年に憲法に、村民委員会が農村自治組織として村民による選挙で選出されるものであることが明文化され、88年には村民委員会組織法がまがりなりにも施行された。だが、現実には海選が導入されているところはまだまだ少なく、導入されていても公正な選挙とはいいがたく、村の党組織の書記などが自動的に村長の地位についたりする。なぜ、そうなるかというと、共産党は末端の党組織を通じて農村を指導する、という建前があり、村の上部行政区の鎮、県などの党組織を通じて強い干渉があるからだ。さらに94年の分税制導入後、農地をめぐる利権構造が発生し、鎮、権政府の農村への干渉が強化され、農民の権利主張を強権で封じ込めることに躊躇がなくなった。

■94年の分税制導入について、ちょこっと解説しておこう。おそらく、これが今の中国の超格差問題を引き起こした決定的な失政のひとつ、と見られているからだ。ときの朱鎔基首相が断行した「朱鎔基改革」の柱のひとつで、各地方と国家がそれぞれわけて財政管理を行うシステムを導入した。それまでは、中央が税を徴収し、地方に再配分するかっこうだった。

■分税制の発想自体は、わるくない。この税制は上海や広東など、商業が発展し利便性の良い地域の急速な経済成長を後押しすることになった。だが再配分システムが未熟で、内陸部の貧困地域との格差を拡大する決定的な政策でもあった。さらに、この制度が適用されたのは、省レベルに限定され、県以下は対象外だった。そのため、税収増分は省の金庫に入れられても、支出増分は県以下に押しつけられたまま、という状況が発生。県以下レベルの末端行政区の財政は急速に悪化した。

■また分税制導入によって、地方の土地収益がすべて地方に属することになった。そこで、県政府は財政悪化の補填に、農地収用、競売という錬金術を使う。中央もこの違法性のある土地収用の実態を知っていたようだが、地方財政悪化を防ぐためにも黙認、国家建設需要という大義名分を与えることもあった。この結果、94年以降、農民の土地を県、鎮レベルの幹部が開発業者と結託して、ほしいままに収用、それを競売にかけたあがりを主要財源にする構造ができてしまった。反抗する農民は、公安やヤクザ、カネでやとった民兵の武力で鎮圧。分税制導入による格差のしわ寄せは、底辺にいる農民に押しつけられた。左派学者の間で、朱鎔基元首相が悪の権化みたいにいわれるのは、こういうわけだ。

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