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【音楽の政治学】中国製ロック、政治に翻弄「一無所有」 (1/3ページ)
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『オマエに問い続けてきた、いつオレと来てくれるのか。でもオマエはただ笑うだけ、オレが何も持ってねぇ、と…。オレの理想をあげよう、オレの自由も。でもオマエはただ笑うだけ、オレが何も持ってねぇ、と…』
一文無しの男が恋人をくどくラブソング。1月5日、コンサート会場となった北京の工人体育場に、この歌が響いて、もう若くはないファンたちの胸を、万感の思いにふるわせた。
1986年、同じ場所で開かれた国連世界百名歌星コンサートで、壊れたギターを抱えた小汚い朝鮮族の男が前触れなく歌ったこの歌こそ、中国製ロックの原点、「一無所有(何も持ってねぇ)」だった。この男、崔健(56)は後に、中国ロックの父と呼ばれ、伝説となる。
何も持ってねぇ、だけど恋人の両手をつかめば、恋人はついてくる…。そう胸を張る若者の姿が当時、どれほど中国の人々を揺さぶったか。文化大革命の10年で渇ききっていた中国人の心は、流入してきた欧米の文化をむさぼるように受け入れた。