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【産経抄】1月11日
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「地球儀を見ると、世界地図ではわからなかったことがわかる」。吹浦忠正ユーラシア21研究所理事長が、師の国際政治学者、若泉敬から教えられたことのひとつだ。たとえば、真珠湾を攻撃した機動部隊が、択捉島単冠(ひとかっぷ)湾を出撃地に選んだ理由も合点がいく。ハワイまで目と鼻の先だ。
▼「地球儀でないと本当の世界はわからない」。小学校に入学して初めて目にして以来、この思いは終生かわらず、海外に出かけるたびに、買い集めてきた。若泉といえば、昭和44年の沖縄返還交渉で、佐藤栄作首相の密使として対米工作に当たった人物として、今改めて注目されている。
▼その経過をつづった著書については、昨年の今ごろ小欄でも取り上げた。政治の舞台から去り、故郷の福井県鯖江市に帰ってからも、海外から要人が頻繁に訪ねてきた。吹浦さんによると、自慢のコレクションを贈ることもたびたびだったという。
▼福井県国際交流会館の1階ロビーにある、直径1・8メートルの巨大な地球儀も、若泉が「若い人に見てもらいたい」と寄贈したものだ。本人の希望で名前はどこにもない。その若泉が知ったらなんというだろう。
▼「学研」のグループ会社が、中国政府からの圧力を受けて、台湾を「台湾島」と表記した地球儀を国内で販売していたことを、夕刊フジがすっぱ抜き、小紙にも転載された。生産コストしか眼中になく、自分たちの言い分を日本の子供たちの頭にすり込もうとする中国のやり口に、加担していたことに気がつかなかったのか。
▼鯖江市内の霊園にある若泉の墓はやはり地球の形をしており、太平洋の真ん中部分に「志」と刻まれている。日本人の心に、それが失われて久しいことを、深く嘆いているに違いない。
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