MSN Japanのニュースサイトへようこそ。ここはニュース記事全文ページです。
[PR]

【土・日曜日に書く】中国総局・野口東秀 民主建設へ、中国の遠い道

2007.12.30 02:42
このニュースのトピックス中国

 ≪輝くランボルギーニ≫

 輝くオレンジ色のイタリア製スーパーカー、ランボルギーニは、300万元(1元約15円、約4500万円)超で手に入れた。

 それだけではない。1000万元(約1億5000万円)という別荘などに、さらに5台。運転手付きの黒塗りベンツS600、マセラティなどだ。

 これらの所有者である高級レストランチェーン「●江南」のオーナー、張蘭さん(49)には、知識人らが迫害された文化大革命の記憶が刻み込まれている。後ろ手に縛られた両親が三角帽をかぶせられ、「資本家のくず」と批判された光景が忘れられない。

 北京で企業管理を学んだ後、建築会社の会計係になった。民主化要求デモが武力で制圧された第2次天安門事件(1989年6月)の4カ月後、カナダに渡った。

 「金を稼ぐことが最大の目的でした」。皿洗い、美容院、掃除係…。1日16時間働きまくった。「体が棒になった。ベッドに足が上がらなかったわ」

 15年前のクリスマス。3年間でためた3万米ドルを手に北京に戻った。直後、夫の浮気で離婚した。半年後、3万ドルの半分を使って50人ほどの客が入る四川料理店を開いた。当時、辛い料理は北京には少なく、店は大繁盛し、当時で1日1万元の売り上げになった。今や北京を中心に二十数店舗を展開し、来年春には東京・表参道に初の海外店舗を出す。ニューヨーク、パリへの出店も視野に入る。

 昨年の総売り上げが5億元(約75億円)という。「店が稼ぎ出すものはすべて私の個人資産といえるかしら」と語る張さんの趣味は絵画収集。数百点あり、今では数千万、数億元の値が付く代物ばかりだ。最近は2200万元(約3億3000万円)で油絵「三峡新移民」を買った。

 ≪権力ともちつもたれつ≫

 張さんはけっして「政治」を語らない。チャイニーズドリームの体現者には多くみられる、中国では当然の自己防衛本能である。彼らに共通するのは、多かれ少なかれ権力と関係を保ち、その庇護(ひご)を受けていることだ。

 記者(野口)はこれまで何度か、外資系企業などのパーティーに私人として招待された。それらパーティーには共通点がある。あるパーティーでは、約10卓の円形テーブル(1卓約10人)の3分の1がノーネクタイの男で占められていた。紹介ですべて公安、検察、裁判所と情報系統部門の男たちとわかった。

 「皆、党の幹部」「何かあったときに助けてもらえるんだ。もちつもたれつ…」

 傍らにいた出席者のささやきは、中国の現実の断面であり、おかしな光景ではないのだ。

 逆に権力と関係をもたず、政権に対立する人物はどうなるか−。

 「国家政権転覆扇動罪」に問われたことがある元弁護士の高智晟氏。「人権派のシンボル」と位置づけられているが、9月下旬から消息不明だ。電話にも応答がない。

 消息不明になる10日前、高氏は米議会あてに約1万3000字に上る書簡を書いた。(非合法組織の)法輪功への中国当局の弾圧ぶりなどが具体的につづられており、「北京五輪に悪影響を与えると当局に判断された」(米国の弁護士)との指摘がある。米国ではブッシュ大統領に高氏の釈放に向けた外交交渉をするよう求める動きが始まった。

 ≪五輪があぶりだす現実≫

 今月12日、広州市第3看守所で、人権活動家の郭飛雄氏に妻の張青さんが拘束後15カ月ぶりに面会した。郭氏は11月、非合法経営罪で懲役5年、罰金4万元(約60万円)の判決を受けた。約5年前に官僚腐敗を書いた本の出版が理由だ。実際は、「郭氏の高氏に対する支援のパイプを絶つ」(関係者)ためとみられている。

 判決を読み上げた裁判官に対し、郭氏は静かな口調でこう言ったという。「あなた方と私は中国の民主事業の過程の中で歴史の一ページを演じているわけだが、私は非常に光栄に思う」

 張青さんが胡錦濤国家主席にあてた公開書簡などによると、郭氏は拘留中、木の板に折り曲げた格好で何日間も張り付けにされただけでなく、高圧電流警棒で体を痛めつけられたという。

 ある党関係者が、こう言ったことがある。「血で獲得した政権が中国共産党だ。政権を転覆させたいなら、相手は血の犠牲を払うしかない」

 金が情報と金を生む。権力と金は結びつき、富を持つ者はますます栄える。そして異議を唱える者は、中国が威信をかける北京五輪を前に厳しい処遇を受ける構図。このコントラストが一層鮮明になるような中国の2008年に、なってもらいたくはない。(のぐち とうしゅう)

●=にんべんに肖

[PR]
[PR]
PR
PR

PR

イザ!SANSPO.COMZAKZAKFuji Sankei BusinessiSANKEI EXPRESS
Copyright 2007 The Sankei Shimbun & Sankei Digital
このページ上に表示されるニュースの見出しおよび記事内容、あるいはリンク先の記事内容は MSN およびマイクロソフトの見解を反映するものではありません。
掲載されている記事・写真などコンテンツの無断転載を禁じます。