ニュース: 国際 RSS feed
スーツ姿大当たり、バンコクの菓子売り
【バンコク=菅沢崇】タイの首都バンコクで、スーツ姿でてんびん棒を肩にお菓子を売り歩くブンミー・アイポンさん(52)が地元の人の間で話題を呼んでいる。同国では、物価高騰で庶民の生活苦が問題視されているが、スーツ姿のアイデアが当たりこの1年で所得は倍増。世間の経済不安にも負けず、高齢者施設にお菓子を贈り福祉活動にも参加するなど意気盛んだ。
ブンミーさんがお菓子売りを始めたのは約7年前。当初は服装にこだわりはなかったが、昨年、めいに「ネクタイが似合う」と言われてスーツを購入。妻のファルーンさん(47)さんの反対を押し切り、さらにあこがれのタイの映画俳優、ソンバット・メーティーニの髪形にして歩いてみたら、街頭で一気に人気者になった。
「メディアだけでなく、写真撮影を外国人観光客からも依頼される。きつい仕事だったが、生活に張りが出た」とブンミーさん。
タイ東北部シーサケット県の貧困家庭に生まれたブンミーさんは、小学4年生までしか学校に通えず14歳で父親とバンコクに上京。鉄工所の作業員を皮切りにゴム園や警備会社など転職を重ねたが、生活の向上はほとんどなく「仕事は何か工夫しないともうからない」と思っていたという。
1日の行程は、バンコク中心部の外国人の居住が多いスクムビット地区を中心に朝7時すぎから夕方まで約6キロを売り歩く。てんびんのお菓子の重さは約50〜70キロ。タイは乾期のため10〜2月は比較的低気温だが、摂氏30度を超える日も多く、発汗のためスーツは自分で洗濯する毎日だ。ただ、収入は1世帯平均の約2万バーツ(約5万6000円)を大きく上回り、1日で約1200バーツの純利益を上げ、スーツ着用前に比べてほぼ倍増。ココナツ菓子や団子など売り物はすべて妻と娘の手作りで、年中ほぼ無休で、前夜から家族は大忙しという。
タイでは、昨年比で主食の米価が倍額に跳ね上がっり、豚肉や油などの食品価格も一向に下がらず庶民の家系は苦しいが、ブンミーさんは「貧乏のつらさを知っている。もうかった分、一部は還元したい」と話し、バンコクの福祉施設に機会をみてお菓子を無料で届けている。



