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【国のかたち キリバスから】地球温暖化とトン大統領 (1/2ページ)
このニュースのトピックス:アジア・オセアニア
「温室効果ガス排出削減はもちろん歓迎です。しかし問題はそれだけでは解決しない。短期的手法が必要です。なぜならその間にも海面上昇は続いています」
首都タラワの私邸で産経新聞と会見したキリバスのアノテ・トン大統領はそう切り出した。
国際社会で急速に関心の高まる温暖化問題も、小さな島嶼(とうしょ)国にすれば懸念はずっと前から存在した。
例えば水資源問題。上下水道がまだ不備のキリバスでは、サンゴ礁の土地の下にたまる雨水が井戸水として使われてきた。比重の違いから海水と混ざらない。ウオーター・レンズと呼ぶ。
ウオーター・レンズは雨が降らないと層が薄くなって海水が染み込みやすくなり、高潮や嵐が来れば、層は破壊の危険すらある。水没云々(うんぬん)以前に気候変動は死活的影響を与えるのだ。
「子供のころと比べて天候パターンは明らかに変わりました。雨ももう10カ月近くありません」とトン大統領。現在、すでに一般家庭で水の使用は1日2時間ほどに制限されている。
もっとも大統領の言う短期的方策とは、単なる水資源対策ではない。温暖化を食い止めるのは容易ではない。その前に島の放棄という最悪の事態が来ても、対処できるようキリバス自ら備えようというものだ。
トン大統領の考える準備の第1は、海外で就労可能な人材の育成だ。すでにオーストラリアには技術や看護訓練生を派遣、ニュージーランドとは季節農業労働者の派遣や、米国のグリーンカードに似た移民の受け入れを協議している。