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【五輪の中国】第3部 聖火異変(3)リレーの“火種”北京へ (2/3ページ)
2006年トリノ冬季五輪の開会式では、他の女性7人と五輪旗を運んだ。北京五輪でも「調和」という五輪の理想を支援しようとランナーを引き受けた。「チベット仏教の最高指導者、ダライ・ラマ14世が『北京五輪を対話の機会として生かす』と話すのを聞いて、人権と環境問題をアピールできるとも考えた」という。しかし、聖火は「調和」ではなく「混乱」の象徴となった。
「ケニアの隣国スーダンのダルフール、私と同じノーベル平和賞の受賞者アウン・サン・スー・チーさんの軟禁が続くミャンマー問題にも、中国が深く関与している。世界中の組織や個人が、中国政府にチベットでの人権状況を改善するよう求めており、聖火を持って走るより抗議活動を支援する方が大切だ」
タイでは、近代化の父といわれるチュラロンコン大王(ラーマ5世)の孫娘、ナリサラー・ジャクラポーンさん(51)が辞退した。ジャクラポーンさんは、環境保護団体「グリーンワールド財団」の代表だ。19日にバンコクで走ることにしたのも、温室効果ガスの“排出大国”の中国に環境保護をアピールしたいと考えたからだ。
滞在先の英国でナリサラーさんが英紙ガーディアンに寄せた一文には、辞退の理由が綴(つづ)られている。
「人権を無視し、ダライ・ラマ14世との対話を拒否し、国際社会の批判に耳を傾けない国家での行事には、仏教徒として参加できない。中国は世界に、五輪という舞台を利用し体制を承認するよう求めているのではないだろうか。聖火が圧政のシンボルであってはならない」
抗議の意思表示の動きはこれにとどまらない。ドイツのシュレン・マッケンベン選手(水球)は、チベット僧侶の法衣の色であるオレンジのタオルを巻き開会式と競技に出るという。フランスでは選手らが「より良い世界を」のバッジをつけ臨もうとしている。

