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比の「拘置所ダンス」世界へ ネットで火
かつて暴動が頻発していたフィリピン中部セブ州の拘置所で、矯正を目的に始められた収容者の集団ダンスが効果を上げている。収容者らが一斉に踊る様子はインターネットで公開され、国際的な話題を呼んでいる。
注目を集めたきっかけは、米人気歌手マイケル・ジャクソンさんのヒット曲「スリラー」の振り付けを収容者1000人以上が一斉に踊っている様子が動画投稿サイト「ユーチューブ」で公開されたことだった。大人気となり、米CNNテレビなども放映、世界各地のファンからメールが寄せられている。
セブ市の高台にあるセブ矯正拘置所。中庭の運動場では、ロック音楽と振付師の掛け声に合わせて、オレンジ色の収容者服を着た男たちが笑顔と真剣な目で体を動かしていた。男たちは殺人や強姦(ごうかん)、麻薬売買など重罪に問われた未決の被告らで、裁判が遅々として進まないため多くがこの拘置所で数年を過ごす。
グエン・ガルシア知事によると、かつて所内には20近くのギャンググループが存在。銃がはびこり、たびたび暴動が発生していた。警備関係の仕事をしていた知事の弟が2004年、状況を改善するため所長に着任。銃をすべて回収し、元警官や元兵士ら「規律を求められる職場にいた経験がある収容者」を各房のリーダーにした。
その際、思い出したのが刑務所を舞台にした米国映画だった。所内に流れる音楽に受刑者が静かに耳を傾ける場面があった。「人を幸福にする音楽とダンスを使おう」と思い立ち、行進の練習から開始。最初はほとんどの収容者が行進すらできなかったが、毎日午後の4時間を練習に充てた。
「房の中で食べて寝るだけの生活が一変した」と話す収容者。英米のポップス、フィリピンのヒット曲などでレパートリーを増やしていき、所長が昨年10月、13曲目の「スリラー」のとき、動画投稿サイトに投稿した。
「ダンスよりも収容所の環境を改善するべきだ」「強制ではないのか」などと批判の声も出ているが、所長は「拘置所内の暴力はなくなった。収容者が笑顔をみせる拘置所や刑務所が世界にあるだろうか」と胸を張る。
スリラーに合わせた集団ダンスの中で、唯一の女性役を演じるウエンジル被告(35)は3年前、麻薬密売で逮捕された。「有名になってうれしいけど、裁判が終わって普通の生活に戻ることができれば、もっとうれしい」と語った。(共同)