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【主張】アジア連携 幻想抱かず地道な努力を
福田康夫首相のアジア外交が、東南アジア諸国連合(ASEAN)を軸とした一連の会議が開かれたシンガポールでスタートした。まずは無難、順調なデビューだった。しかし、地球環境問題にせよ経済問題にせよ、総論から各論に移るにつれ、難問山積となる。
協調や友好、東アジア共同体といった言葉に幻想を抱くことなく、また抱かせることもなく、地道に問題解決に努力していくことが重要だ。
経済分野では、日本とASEANが経済連携協定(EPA)を結ぶことで正式合意した。来年中の署名、発効を目指す。日本が地域連合体とEPAを結ぶのは初めてで、日本と東南アジア諸国間、ASEAN域内の貿易の一層の拡大、円滑化が期待される。
ASEANとの自由貿易協定(FTA)では、中国が一昨年7月、韓国が今年6月に発効させ、輸入関税など貿易条件面で優位に立っていたが、日本は1〜3年遅れでやっと中国、韓国に追いつくことになった。
しかし、今回も国内政治的に敏感な日本のコメをはじめとする農産品は対象から外され、農業国の多いASEAN側に不満を残した。農業市場開放を可能にする国内農業の競争力強化を通じた協定の改善が課題だ。
経済協定は双方、とりわけ相手側が利益を実感してこそ意味があり、わが国との信頼関係も深まる。政治、外交的にも重要な意味を持つ。
焦点となった地球温暖化問題では、ASEAN+6カ国首脳による「第3回東アジアサミット」で、「気候変動に関するシンガポール宣言」が採択され、一定の前進をみた。京都議定書後の枠組み作りに各国が参加する意思を示した意味は小さくない。
だが、インドの反対でエネルギー効率改善の数値目標は盛り込めず、9月のアジア太平洋経済協力会議(APEC)の声明より後退した。具体論での合意の難しさを見せつけた。
安倍晋三前首相は、今年の主要国首脳会議(サミット)で日本の構想「美しい星50」を受け入れさせた。来年の洞爺湖サミットへ向けての交渉はさらに困難を増す。福田首相には安倍前首相以上の外交力、指導力が求められる。協調は大事だが、「主張しない外交」となってはならない。