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【外信コラム】シンガポール マーライオンの目 もう聖歌は聞こえない
スリランカ北部のキリノッチは、反政府ゲリラ「タミル・イーラム解放のトラ」(LTTE)の拠点である。2005年1月、インド洋大津波の被災地を取材するため訪れた。政府・ゲリラ双方の検問所をいくつも通り抜けてたどり着いたその地は、道沿いに地雷原が残る、静かな街だった。商店も、学校も、病院もあった。宿泊先の教会には、内戦などで親を失った子供たち約50人が暮らしていた。毎朝、彼らの歌声で目覚めたものだ。
そのときインタビューに応じたのが、LTTEナンバー2のタミルセルバン氏である。内戦で負傷したという同氏は、つえを突きながら会見場に現れた。意外にも、物腰が柔らかく笑みを絶やさない。そして若い。当時38歳である。とはいっても、元郵便配達人という通訳の老人を介して繰り出される言葉は、激越な政府批判ばかりだった。
政府の支配地域に戻った後、スリランカ人ジャーナリストにその話をしたら、露骨に嫌な顔をされた。「どうしてあんなテロリストと会ったりしたんだ!」。同国では1980年代から続く内戦で7万人以上が犠牲になったといわれている。
先日、そのタミルセルバン氏が死亡した。午前6時ごろ、キリノッチで政府軍機の空爆を受けたらしい。最近はキリノッチも爆撃対象になっている。教会にいた子供たちは、爆音がとどろく中で不安な朝を迎えていることだろう。(藤本欣也)
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