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英米知識人が展望する今後の世界 ジョージ・パッカード氏/ロバート・クーパー氏 (1/5ページ)
米証券大手リーマン・ブラザーズの破綻に始まった金融危機は、グローバル・マネーを媒介としてあっという間に各国に広がり、世界同時不況に転化しようとしている。30年間にわたるレッセフェール(自由放任主義)の流れの中で規制緩和が進みグローバル化してきた金融市場に今、再びルールのたがをはめようとする動きや、ブレトンウッズ体制に代わる新たな世界経済の枠組みの構築を求める声も出ている。冷戦構造の崩壊がもたらしたこのグローバル化の波に乗った民主主義の普及は、武力でそれを実現しようとした面もあるイラクでは難渋している。イラク戦争への不満や金融危機を追い風に、米国初の黒人大統領として登場するバラク・オバマ氏は、現下の世界経済危機や、冷戦後の脅威であるテロ、核拡散、そして台頭する中国といった諸課題にどう取り組むのか。閉塞感漂う世界に新風を吹き込めるのか。冷戦終結20年に当たる節目の年頭に、英米の識者2人に転換点に立つ世界の今後を展望してもらった。
【ジョージ・パッカード氏】
(1)武力行使による民主化誤りだった
後世の史家は、米国のレーガン政権時代を冷戦の終結期として語るだろう。米国が巨大な経済・産業力に立脚して、スターウォーズ計画などの斬新な軍備開発を掲げることで、ソ連共産党のゴルバチョフ書記長との駆け引きを制し、ソ連を破った時代だった。
戦火を交えることなく、レーガン大統領が冷戦を終結に導いたことに対し、われわれは感謝してもよいだろう。当時、米国内でレーガン大統領は国民の財貨を豊かにする経済成長の旗を振ってみせた。その結果、米国は突出した軍事力で世界を動かしたわけだが、今日にあってこの考え(軍事力に依拠する一国主義)は、まったくの誤りと言わざるを得ない。
ベトナム戦争を思いだすなら、ジョンソン大統領は戦争の犠牲や戦費負担を国民に十分に説明しないまま、米国を戦争の深みに引き入れた。レーガン大統領はこの路線の再演を狙ってそれが成功したわけだが、2001年に始まったブッシュ政権は、冷戦の勝利から誤った形で教訓を引き出してしまったのだ。中東地域の民主化まで含めて、すべてのことが軍事力で可能になると思い込んだのは、はなはだしい誤りだと言いたい。
レーガン時代の成功経験も、やり過ぎれば失敗を招くのは必定であり、これがまさに米国がいま立たされている境遇なのである。
(2)日本よ、もっと自立した役割を
アジアについて振り返ると、米政府の対日姿勢は、1980年代には二分された状態だった。財務、商務の両省が日本への敵意をむき出しにしたのに対し、国防総省は日米同盟重視を唱えていたのだ。それだけに、石原慎太郎氏らの『「NO」と言える日本』が出版(89年)されると、国防総省は肝をつぶし、“対米戦”の先触れかと、同書の英訳が機密扱いで回覧される事態となった。


