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【正論】米新政権を占う 国民も対米追随の発想脱却を 同志社大学教授・村田晃嗣 (1/3ページ)
ついにバラク・オバマ上院議員(民主党、イリノイ州)が、アメリカの次期大統領に当選した。しかも、選挙人の過半数270票を大きく上回る大勝である。47歳という若さであり、史上初の黒人大統領の誕生である。
かつてジョン・F・ケネディが宗教の壁を破ったように、オバマ氏は人種の壁を破った。雄弁や若さという共通点もあって、彼が「ブラック・ケネディ」と呼ばれる所以(ゆえん)である。そのオバマ氏は今、世界との対話をめざし、分裂したアメリカ世論の統一を呼びかけている。国難にあって統一を呼びかける姿は、南北戦争時のエイブラハム・リンカーンを彷彿(ほうふつ)とさせる。リンカーンもまた長身で、イリノイ選出であった。
だが実は、金融危機が発生しなければ、オバマ氏の当選は容易ではなかったかもしれない。この危機に対処することこそが、オバマ次期大統領の当面の最大課題である。この点では、世界大恐慌にニューディール政策で立ち向かったフランクリン・ルーズベルトの姿が重複してくる。
そして、この危機への対処に失敗すれば、オバマ人気は急速に退潮し1期かぎりでホワイトハウスを去らなければならないかもしれない。そうなれば、ジミー・カーター元大統領の二の舞いであり、「ブラック・カーター」になってしまう。
オバマ外交にとっては、アフガニスタンの治安回復とイランの核開発問題こそが、最重要課題である。これに比して、アジアでは北朝鮮の核開発問題ですら、新政権にとって優先順位の高い問題ではあるまい。こうした中での日米関係である。
外交の主体的再検討から
オバマ新政権は日本にも、アフガンの復興支援への一層の協力を求めるであろう。しかし、自衛隊派遣はできないというのが、日本政府の立場である。アフガンでどの程度協力すべきかについては、個別の政策判断の問題である。だが、国連安保理常任理事国入りをめざす日本として、どのような国際的関与が必要なのかについて、我々は真剣に再考しなければならない。国連平和維持活動(PKO)に参加する自衛隊員は40人にも満たず、政府開発援助(ODA)の額も削減される一方である。

