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「終わりではなく始まり」正常化へ多難な船出 IWC総会閉幕
【サンティアゴ=松尾理也】国際捕鯨委員会(IWC)総会が27日、閉幕した。捕鯨推進派と反対派との勢力が拮抗(きっこう)し、どちら側の主張も通らないという機能不全が続く現状の「正常化」がテーマだった今回は、そのための作業部会の設置という一応の成果をみたものの、対立の構造はまったく変化しておらず、多難な先行きが予想される。
「正常化」という言葉はもともと、日本が持ち出したもの。重要事項の変更には総会の4分の3の賛成が必要なことから、意思決定がなにもできない現状を変えるための訴えだった。
昨年のアンカレジ会合で日本が脱退までほのめかす中、危機感を抱いた現ホガース議長(米)が、内戦終結交渉などに用いられる紛争解決の手法をIWCに持ち込み、正常化を図ったのが今回の総会だった。
小人数の作業部会を設置、無意味な紛糾を避けるとともに、個別では妥協の余地がない対立事項をひとまとめの「パッケージ」に組み立てる。双方が譲歩に対する見返りを実感できるようにし、なんとか妥協を実現させるという手法だ。
その点からみれば、作業部会の設置に成功した今回は「最初の1歩を踏み出した」(森本稔政府代表)画期的な総会だった。
しかし、代表団の表情は必ずしも明るくない。作業部会の設置が決まった翌日から、会議場は従来の不毛な議論の場に逆戻りした。
今回、日本は例年行ってきた沿岸小型捕鯨再開提案についての投票を要求しなかったほか、反捕鯨団体による妨害活動への非難声明の採択をもあきらめるという譲歩を重ねた。そうまでして手にした「正常化への第1歩」だが、対立の構図が変わっていない以上、交渉は「終わりではなく始まり」(森下丈二代表代理)にすぎない。
残された時間は短い。ホガース議長の任期は来年で切れる。日本代表団が「山場」と位置づける来年のポルトガル会合までに具体的な成果が得られない場合、いよいよIWC脱退というシナリオも現実味を帯び始めることになる。