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米消費スタイルに異変 ガソリン、食料高で節約志向
【ワシントン=渡辺浩生】大量消費で世界経済をけん引している米国の消費スタイルに、異変が生じている。ガソリン食料インフレで、買い物や運転を節約し、家庭菜園を始める人が増加。米国の消費縮小による世界経済へのインパクトが懸念されている。
ワシントン郊外に住む主婦のリタ・トンプソンさん(46)が、食品売り場の値段急騰に気付いたのは半年前ごろ。退役軍人なので買い物は民間より割安の陸軍厚生施設のスーパーを利用する。それでも支出は増加傾向。牛乳、肉や野菜など7品でこの日の出費は35ドル(約3600円)。「半年前は30ドルだった」。
ガソリンの節約にほぼ毎日だった買い物も週2回に。車通勤の夫は自転車利用を検討中だ。息子のサッカー試合の送り迎えは他の父母と交代で。オレンジジュースを大量に飲む息子には「その前に水を飲みなさい」と指導した。「インフレはいつ終わるかわからない。スタイルを変えないと」とリタさん。
労働省が発表した4月の消費者物価指数によると、食料品は前月比0・9%と過去18年で最大の上昇率。過去3カ月の上昇率は年率6・1%。世界の穀物価格高騰を反映し、シリアルやパン類は過去3カ月で年20%、調理油は年26%上昇。
ガソリンも天井知らず。エネルギー省が12日発表したレギュラー価格は平均1ガロン=3・72ドル(1リットル=0・98ドル)と4ドルに迫る勢い。
米紙ワシントン・ポストの世論調査によると、インフレが経済的な最大の悩みと答えた人は32%。物価高で生活水準の維持に不安を覚える人は68%。ガソリン高による家計圧迫で66%が運転を減らしている。
米紙クリスチャン・サイエンスモニターによると、造園業団体の調査で今年自宅に庭がある人の39%が野菜の栽培を行うと答え、前年より5%上昇した。「食料価格高騰が影響している」と指摘している。
低所得者の生活苦は一段と厳しい。高金利型住宅ローン(サブプライムローン)の借り手、メリーランド州ボルティモアのジェニーショウンさん(60)は「ローン返済、光熱費すべてが上昇し、食費が残らない。国から支給される食糧交換券で食いつないでいる」と憤りを隠さない。結婚指輪など貴重品をインターネットで売却して現金化する人も増えており、ある人気掲示板サイトでは、売却リストの件数は昨夏以来70%増加したという。
一方、サービス業は客離れとコスト高のダブルパンチ。米コーヒーチェーン最大手スターバックスは1−3月期決算で米来店客数の落ち込みによって純利益が前年同期比28%減少した。
15日、米下院の中小企業委員会の公聴会で、レストランオーナーのゲオフ・トラシー氏が「卸売食料価格は過去27年で最高水準だが、多くの店はメニューの価格にコスト急騰を転嫁できない」と訴えた。
米実質国内総生産(GDP)は1ー3月期、7割を占める個人消費が前回の景気後退期の01年以来の低水準。節約志向で消費の縮小が続けば、世界経済の減速にも波及しかねない。