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ミャンマー軍政国民投票強行下級兵士からも不安天災=失政と非難

2008.5.10 23:25
このニュースのトピックスミャンマー情勢
10日、ミャンマーの最大都市ヤンゴン近郊の国民投票投票所で、有権者に投票用紙を配る当局者(左)(AP=共同)10日、ミャンマーの最大都市ヤンゴン近郊の国民投票投票所で、有権者に投票用紙を配る当局者(左)(AP=共同)

 【バンコク=菅沢崇】大型サイクロンの犠牲者が約10万人に達する恐れがあるミャンマーで、新憲法案の賛否を問う国民投票が10日、国際社会の非難を無視して強行された。軍政が復興を後回しにして国民投票を急ぐのは、独自の“民主化”を掲げる新憲法の承認が現在の軍政維持には不可欠だからだ。しかし、投票強行には、下級兵士の間からも疑問の声があがり、信心深い人々は今回の災害を「失政に対する天の怒り」ととらえるなど、軍政首脳部への不満がつのっているという。

 投票はヤンゴン、エヤワディ両被災管区の一部を除き約2500万人の有権者を対象に行われ、最終結果は24日に延期された地区の投票終了後に発表されるとみられるが、投票の秘密確保や集計の公正さを早くも疑問視する向きは多い。

 新憲法は、軍総司令官が緊急時には全権を掌握すると明記。また、大統領は両親ともにミャンマー人で配偶者や子供が外国籍ではならないとし、自宅軟禁中の民主化指導者、アウン・サン・スー・チーさんの就任を排除する内容で、軍政の権限をより強めるものだ。

 一方、ヤンゴンの消息筋によると、復興の遅れに不満をつのらせる国民や下級兵士の間からは、「災害は現政権が終わる不穏の兆候ではないか」とのうわさも出始めているという。ミャンマー仏教は「十戒」として殺生や金銭の受領、飲酒などを厳しく禁じており、信心深い国民は、軍政がこうした戒律を軽んじてきたことが、今回の災害につながったとみているというのだ。

 こうしたなか、同国に届いた国際支援物資は、ほとんどがヤンゴン国際空港に足止めされていたが、軍政側は受け取った物資の箱に張られた米欧などの国名が書かれたラベルを、軍政首脳の名前のラベルに張り替えて配給している。国営テレビは、タン・シュエ国家平和発展評議会議長が被災者らに手渡す場面を繰り返し放映。軍政が支援を行っていることを強調することで、軍政に対する信頼を回復する狙いのようだ。

 しかし、国内最大のコメの生産地であるイラワジ川下流地域が被災し、今秋のコメの収穫量が激減することは確実。輸入に頼るガソリンや軽油の価格も、両管区の港湾施設が壊滅的被害を受け、高騰は不可避だ。

 ヤンゴンの別の消息筋は、「100万人以上が被災しながら、初動の遅れが示す危機管理の欠落などを考慮すると、軍政中枢部の掌握力が軍内でも問われる可能性も否定できない」と指摘した。

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10日、ミャンマーの最大都市ヤンゴン近郊の国民投票投票所で、有権者に投票用紙を配る当局者(左)(AP=共同)

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