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ヒズボラなど野党が西ベイルート制圧 親米反シリアの政府与党と対立
親米反シリアの政府与党と、親シリアのイスラム教シーア派組織ヒズボラ(神の党)を中心とした野党勢力の対立が先鋭化しているレバノンの首都ベイルートで8日、武装した双方の支持者が激しい市街戦を展開、ヒズボラの武装勢力が9日、与党有力者のサアド・ハリリ氏の自宅などがある西ベイルートを制圧した。2005年のハリリ元首相暗殺以来、「反シリア・親シリア」の色分けで続いてきた権力闘争は、首都での本格的な武力衝突で、一気に緊迫の度を強めている。
衝突のきっかけは、シニオラ政権が5日、ヒズボラの軍事用通信網を「違法」として取り締まる姿勢を示したことで、野党側は6日、物価上昇などに抗議するゼネストで対抗、与野党双方の支持者らの衝突が発生。さらに、ヒズボラ指導者、ナスララ師が8日、政府の措置は「米国とイスラエルの代理人による『宣戦布告』に等しい」と強く反発、銃撃戦へと展開した。
野党側は、ヒズボラを中心に、ビッリー国会議長(シーア派)率いるアマルの民兵や左派勢力の支持者らが加わり、イスラム教スンニ派が多い西ベイルートで、ハリリ氏の民兵らと銃撃や砲撃で激しく交戦。同氏の自宅付近にロケット弾が撃ち込まれたほか、同氏所有のテレビ局は包囲され、放送が停止している。
ロイター通信などによると、西ベイルートはハリリ派民兵が投降を交渉している1地域を除き、野党側の手に落ちた。ベイルート空港は7日から閉鎖状態で、ベイルートにつながる道はヒズボラが押さえている。
レバノンでは、さまざまな宗派や政治勢力が合従連衡を重ねながら血で血を洗った内戦(1975〜90年)の記憶が生々しく、ヒズボラの軍事力に太刀打ちできない政府軍は「介入は宗派抗争に火をつけかねない」として、今回の事態に「中立」を保っている。
米、仏、サウジアラビアの支持を受け、反シリアを旗印とするシニオラ政権と、シリアの支援を受けるヒズボラなど野党勢力の根本的な対立を背景に、昨年11月から続く大統領選出をめぐる国会審議空転で政治危機が深刻化しており、ヒズボラは力を見せつけ、与党から譲歩を引き出すか、一気に倒閣に持ち込みたい狙いとみられる。
(村上大介)